「はあ…わかった。今更どうにもできないしね」
「よし、じゃあ俺たちは部屋に戻るよ」
「邪魔したな」
「なにかあったらいつでも連絡しろ」

ぞろぞろと部屋を出て行く三人を手を振りながら見送る。……もう少し周りを気にして出て行ってほしい、堂々としすぎだ。さて、たいしてやることもないし寝ようかな。時刻は二十ニ時過ぎ、寝るには早いけどまあ仕方ない。寝る準備をしようと部屋をウロウロしていると、大きな音をたててドアが開けられた。

「…桃城くん」
「せんぱーい、俺言いましたよね?二十二時にトレーニングルームに来て下さいって」
「言ってたね」
「じゃあなんで来ないんスか?」
「私、行くなんて言ってないでしょ」
「……ほんと、ムカつく先輩っスね」

そう言うと桃城は腕を振り上げた。これはマズイ。部屋には自分と桃城だけ。私の部屋はレギュラー達の部屋とは少し離れた場所に位置してるため、こんな上手いタイミングで助けがくるわけがない。大人しく殴られるしかない、か。

ガチャ

「………」

部屋に入って来たのは越前だった。私と桃城を交互に見たあと、彼は私の方を向いた。

「……部長が呼んでたよ。食堂にいるから行ってきたら」

誰を、とは言わなかったけど目が合ってるからたぶん私だろう。小さく頷き、腕を振り上げたまま固まっている桃城の脇をすり抜ける。ドアの横に立っている越前にお礼を言えば彼は軽く手を上げた。






越前の言う通り食堂に行ったが、そこには誰もいなかった。ああ、嘘か。私を助けるための。……だけどなんで越前は私の部屋に?本当に手塚が呼んでたなら話は別だけど、あれは嘘で。…わからない。





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