結果は3―6で私の負け。でも久しぶりにこんな楽しいテニスをした気がする。

「あんた、けっこう強いんだね」
「ありがとう」
「またやろうよ。じゃあね」

越前はひらひら手を振ってコートを後にする。その姿を見送っていると彼は思い出したようにこちらを振り返った。

「俺は強いやつとテニスできればなんでもいいけど、なんかあったら言ってよ」

力になってあげてもいーよ、と言って再び足を動かし始める。生意気な一年。……まあ励みにはなったけど。しょうがないからお礼にまた試合してあげる。






夕飯の準備ができたという放送を聞き食堂に向かう。私が着いた頃には既に全員揃っていた。睨んでくる人数が増えてるってことは神崎がなにか言ったのかな。榊の横の空席に腰を下ろした。

「あんた神崎先輩をいじめてんだって?」

桃城が私の横に立ち、見下ろしてきた。口を開こうとした榊を睨んで黙らせる。越前がこちらを見てるのがわかった。

「そんなことしてない」
「嘘はいけねーなあ、いけねーよ。昼にあんたに殴られたって神崎先輩が言ってきたんだよ!!」
「はあ、………手塚くん、ご飯ぐらい静かに食べたいんだけど」

こちらを見ながら顔を顰めていた彼に声をかけた。そりゃ疑問に思うよね、貴方は私が壁打ちしてたとこ、越前と試合してるとこを見てたんだから。

「あ、ああ、すまない。席に戻るんだ桃城」
「なっ部長!?こいつは…!」
「桃城」
「ぐ……」

桃城は私を睨んだあと自分の席に戻っていった。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -