平部員のドリンクとタオルを運ぶ。レギュラーや準レギュラーの分は神崎がやるようになった。なんでも私の用意したものが使いたくないんだって。こっちとしては仕事が減るから楽でいいんだけど。 「ここ置いとくよー!」 「はい!いつもありがとうございます!!」 三年の平部員以外は初めと変わらず接してくれる。そのせいで三年と一、二年が対立するようになった。なぜ後輩が今まで通りなのかはわからないが、あまり気にしていない。 「なまえ先輩!」 名前を呼ばれて振り向けば二、三年の平部員がずらりと並んでいた。その光景に若干驚きながら首を傾げると、一人の部員が一歩前に出た。 「なまえ先輩を信じてます」 「!」 「俺、見たんです。この前なまえ先輩が洗濯してるところ!」 そう言うと俯いてしまった。「でも、」と言葉を続ける。 「跡部部長に言おうにも怖くて…っすいません!力になれなくて!!」 がばっと頭を下げる彼等に慌てながら顔をあげるよう促すと、渋々従ってくれた。うん、いい子。にっこり笑ってお礼を言えば罰の悪そうな顔をする。 「でも俺たちは何も…」 「気持ちだけで嬉しいよ。ほんとにありがとうね。ほら、練習練習!」 コートに戻って行く彼等を見送る。 神崎、あんたの思い通りにはならないよ?全てが終わればここに居場所はない。覚悟しといてね。 |