昼休み数人の男子生徒にバラ園に連れてこられた。彼等は私を囲むようにして立つ。

「神崎を殴ったんだってなあ!?」
「頭おかしいんじゃねーか?」
「あいつはなんもしてねーだろ!!」

殴り、蹴りながら大声で叫び散らす彼等。私が倒れたときにはそれはただの暴言に変わっていた。血だらけになり動かなくなった私を見て彼等は帰って行った。身体中が痛い。

こつこつ、と足音が聞こえてきた。まずい、この状況で見付かったら……。足音はどんどん近付いてくる。

「…っなまえ、ちゃん……」

倒れている私を見て後退った女子生徒。彼女は転校してきたときに昼食に誘ってくれた子だった。そういえばバラ園に行くことがあるって言ってた気がする。彼女の顔には困惑と迷い。

「……………、これ…よかったら使って、ね」

長い沈黙のあとそう言うと絆創膏を置き、小さく「ごめん」と呟いて走っていった。いい子だ。思い返してみると私は彼女に何も言われてなければ何もされてない。ただあの子は教室の隅で顔を歪めていただけ。元の幸せだった生活に戻りたいんだろう。それを壊したのは私。依頼とはいえ幸せを奪ってしまった。彼女のためにも早く片付けてしまおう。

ポケットから携帯を取り出した。





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