「痛い、痛いって、若!!」 「静かにしてください」 傷の手当てをしてくれているのは若。ありがたいけどもう少し優しく出来ないかな。 「終わりましたよ」 「……ありがと」 「ほんなら俺らはもう帰るわ」 「だな。また明日」 「ん、気を付けてね」 ぞろぞろと部屋を出ていく三人に手を振る。ばたん。ドアが閉まる音を聞いたと同時に私はソファに倒れ込んだ。深く息を吐く。 「明日から本格的に始まる」 きっと神崎は周りに虚言を広めただろう。現にレギュラーにも殴られた。まあなんであろうと私は絶対に負けない。早く終わらすって約束したんだ。それに私は一人じゃない。 起き上がり、ノートパソコンを開いた。榊に今日の報告をしておかなければならない。ついにレギュラーが手を出した、と。メールを送ったあと、外を見れば日は落ち、暗くなっていた。返信を待っている間に夕飯を作ることにする。 パスタを口に運びながらメールを開けば、新着メールが一件。内容は了解と謝罪の文字だった。読んでからパソコンを閉じる。返信をする必要もない。ちゅるり、とパスタが音をたてた。 |