放課後の部活でことは起こった。神崎が私に殴られた、とレギュラーたちに言ったらしい。もちろん私は記憶にないけど。レギュラーたちに囲まれているこの状況を言葉に表すなら絶体絶命、かな。

「こんなところに連れてきて何か用?」
「てめぇ愛奈を殴ったんだってな」
「……そんなことしてない」
「とぼけるつもりですか?」

鳳が一歩近付いてきた。長身な彼に迫られると威圧感がある。

「……それを言うためだけにこんな人気のない場所に?」
「あーん?んなわけねぇだろ」
「みょうじにも愛奈の痛み味合わせたるわ。覚悟しいや」

ガッ、と侑士が私を殴った。音の割には痛みをあまり感じない、さすがだね。

「…っ」
「まだまだこんなもんちゃうで?」
「クソクソ!侑士ばっかずりぃ!!」

侑士は私に目配せをしてきた。それにバレないように頷く。

「とりあえず今回は一人一発ずつでええんちゃう?忠告、ちゅーことで」
「ああ」
「じゃー次俺な!」

向日は私の前に立つと思い切り殴ってきた。手加減してくれた侑士とは比べ物にならないほどの痛みが伴う。その場にいた全員に殴られた頃には私は起き上がることが出来なくなっていた(樺地は顔を僅かに歪めていた。もしかしたら気付いているのかもしれない)。いくら侑士たちが力を抜いていても他のメンバーから喰らったものは相当だ。私を殴ったあと、彼等は練習に戻っていった。

重い体を引きずり学校をあとにする。陰から覗く視線には知らぬふりをしておいた。





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