神崎が仕掛けてきた日から五日が経った。合宿のことは数日前榊が部員たちに知らせている。私も行くことに猛反発があったけど、マネージャー一人では無理があるということで丸め込まれていた。

「ん」

ポケットに入れてある携帯が着信を知らせていることに気がついた。ディスプレイに表示された名前につい顔が綻ぶ。幸い休み時間中だったので次の授業をサボることにし、場所を移動した。その間に着信は切れてしまったため私からかけ直すことにする。

私がやって来たのは裏庭にあるの大きな木の下。ここは校舎からも死角になっている。携帯を取り出すと再び震え始めた。表示される名前はさっきと変わらない。自然と笑みが溢れる。

「もしもし?」
「うん」
「順調だよ」
「わかってる。ありがと」
「我が儘言わないでよ」
「ふふ、頑張って?」
「……うん、私も」
「出来るだけ早く終わらす。…じゃあ、そろそろ切るね」
「ん、またね」

電話を切り一息ついたあとその場を後にする。

この電話を聞いて貴方は何を思い、考える?答えによって未来は変わる。まあ貴方がどうなろうと興味ないけど。精々悩んでね、芥川慈郎くん?





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