「な、愛奈!?」
「なにがあったんですか!」
「なまえちゃ、んが 私が洗濯した のを……っ」

鳳は神崎を抱き締め、頭を撫でた。向日は散らばった洗濯物をみて声を荒げる。

「これ俺がお前にやれっつったやつじゃねぇか!!愛奈に押し付けたのか!?」
「最低ですね。しかもそれを先輩に被せるなんて……人として終わってますよ」
「朝のことといい……なんなんだよお前!!」
「調子乗んのもええ加減にしときや」
「消えてくれませんか」

向日、鳳、亮、侑士、若が次々に悪態をつく。そして今まで黙っていた跡部が口を開いた。

「絶対に潰してやる」

低い声が部室に響いた。部員たちが私に殴りかかろうとしたとき、ドアが開けられた。

「なにをしている」
「「監督!?」」

全員ぴたりと動きを止める。冷や汗が流れ、顔は真っ青だ。榊はもう一度同じ言葉を繰り返した。

「みょうじ、が……!」
「私は自分で見たものしか信じない」
「この状況を見てまだそんなこと言うんですか!?」

榊の言葉に跡部がキレた。しかし榊はギロリと睨むと静かに言葉を発する。

「神崎が洗濯物を被っている、ただそれだけだろう」
「それだけって!」
「転んだのかもしれない。私はその場面を見ていたわけではないからわからないがな」

ぐ、と言葉に詰まる彼等を無視し榊は一言「部活終了」と言い放つ。部員たちは納得していなかったがそれに従い帰って行った。

……そういえば芥川が部活に来ていなかった、なぜ?一つの疑問を残したまま一日が終わった。





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