時間が経ち部活の時間。いつも通り誰よりも早く来てネットを張る。途中鳳と亮が来たものの二人は私を無視して更衣室に消えていった。その後も次々と部員たちがやって来る。誰一人として私に声をかけることはない。と、思っていたら

「おいみょうじ!」
「なに?」
「これ、洗っとけよな!!」

向日に渡されたのは籠に入れられたドロドロの服とタオル。見た目はもちろん籠の重さが尋常じゃないことからも、半端ない量だということがわかった。溜め息を吐きたい衝動を抑え「わかった」と返事をして水道に向かう。土だらけのこれらは洗濯機じゃ洗えない。バシャバシャと一枚一枚丁寧に洗っていった。一度じゃ汚れが落ちなかったため、何度も繰り返し洗う。水を切って籠に入れ部室にある洗濯機のもとへ。

「ご機嫌麗しゅう、なまえちゃん?」
「こんにちは、愛奈ちゃん」

足を組んで椅子に座っていた神崎に笑顔で答えてみた。すると彼女の顔はみるみる歪んでいく。傑作ね。クスリ、と笑えば顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。

「何がおかしいのよ!!」
「だって…すごい顔なんだもん。笑わないほうが失礼に値するわ」
「なんですって!?」

素で返していることにも気付かずに喚く神崎を無視して洗濯機を使おうと思ったら、彼女は私から籠を奪いまだ濡れている洗濯物を頭から被った。嫌な笑みを浮かべると

「きゃあああああああああああああああっ!!」

ああ、耳が痛い。そして外からは複数の足音。貴方たちスタンバイでもしてたの?





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