昼食は音楽準備室で取ることにした。予め榊から鍵は貰っていたため彼を訪ねる必要もない。少々広すぎるそこで一人寛いでいれば、鍵を閉めた扉が開けられた。

「動いたようだな」
「そうですね。心配は無用ですよ」
「わかっている」

入ってきた人物、榊は鍵をかけてから一人用のソファに腰を埋めた。私たちは机を挟み、向かい合うように座っている。

「跡部が私のもとへ来た」
「私を辞めさせるよう頼まれたんでしょう?」
「…ああ」

答えたあと榊は俯いてしまった。余程気疲れしてるのね。本当に部員思いの監督だわ。彼の名前を呼べば顔を上げ、こちらを見た。

「氷帝、青学、立海で合同合宿の計画を立ててください。場所は用意出来ますよね、期間は一週間程。そこで全てを終わらせます」
「手配しておく。いつからだ?」
「……二週間後にしましょう」

榊は頷き、立ち上がると部屋を出ていった。鍵がかけられる音を聞いてから携帯を取り出す。電話をかければ一度目のコールが終わる前に繋がった。相手に用件を述べれば承諾してくれた。少し話してから電源ボタンを押す。空になったお弁当を片付け、それを持って部屋をあとにした。





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