部活が終わり部室を出ていこうとした跡部を引き止め、平部員の練習メニューを書いたノートを渡す。彼はそれを見て目を見開いた。

「…これ、お前が?」
「うん。一人一人の体力、技術から考えたんだけど……」
「二百人全員のか!?」

跡部が大声を上げたせいでまだ残っていた忍足、宍戸、日吉そして神崎が近付いてきた。

「どないしたんや跡部。でっかい声出して」
「お前らも見てみろよ」

跡部は忍足にノートを渡し、見るように促す。後ろから三人が覗いた。神崎はなぜ跡部が驚いたのかわかっていないようだったが、他は言葉を失っていた。

「ほ、ほんまに全部なまえが書いたんか?」
「凄い量だぜ」
「………」
「まだ大雑把に書いただけなんだけどね。もう少しちゃんとしたのを作り直すつもりだよ」
「……ね、ねえ!そのノートの何が凄いの?ただの練習メニューでしょ?」

理解できていない神崎に心の中で溜め息を吐いた。跡部が彼女に説明しようと口を開こうとしたが、その前に提案する。

「あ、景吾くん、愛奈ちゃんを送って行くんでしょ?どうせならその時に話したら?部室の鍵も閉めたいし」
「それもそうだな。愛奈、行くぞ」
「うん!みんな、また明日!」

部室の戸が閉まったと同時に響く笑い声。それは私のものだけではない。





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