…寒い



ちょっと小腹が空いたので、コンビニにプリンでも買いに行くか、と思ったのが間違いだったのか

手が、氷の様に冷たくて
指の先がほんのり赤くなってしまっている

ここで手を温めてくれる恋人でも居れば良いのだが、あいにく、現在私に彼氏は居ない。別に寂しくなんてないんだから…!



『はぁ…』



思わず漏れる、ため息
あっという間に白く変わる


冬に吐く白い息
小さい頃は、好きだったのだけど
(よく、無駄に大きく息を吐いていたのを覚えている)

今では、なんて事のない自然現象で
(むしろ、視界が悪くなるので邪魔くさい)



ああ、私は、いつからこんなに冷めてしまったのだろうか
(雪に喜べなくなってしまったのはいつからだった?)



『…帰ろっかな』



なんか、虚しくなってきちゃったし
(大人になるのって寂しい事だね)

ああもう、冬なんて、大嫌い
(寂しくて、切なくて、どこか泣きそうな冬の空気が)

はぁ、早く家に帰ってコーヒーでも飲もう
(ごめんねプリン。また会おう)



「なんだ、プリン買いに行かないのか?」


『うん。寒いし…って、は?』



今後ろから、(残念な事に、かなり聞き覚えがある)声が聞こえた様な…

しかもプリン?
ナチュラルに心読んだよこの人!



「寒い?しょうがないな。オレが温めてやろう」


『遠慮しときます。…てゆーか、ねぇ、クロロ?』



皮肉を込めてニッコリ微笑んで後ろを振り向くと、案の定、そこにいたのは幻影旅団の団長であるクロロ

私に負けないくらいニッコリ微笑んだクロロ(私と違って爽やか100%)は「なんだ?」と、これまた爽やかに返事をした
(かっこいい、と思ったのは秘密)



『なんでここに居るの?』



確か、仕事があるとか言って無かった?
(3日前、彼氏でもないのにわざわざ報告してきた)



「もちろん、なまえに会いに来たに決まっているだろう?」


『そりゃどうも』



冷たく返したけれど、心の中はどきどきで
(この大きな心臓の音が、クロロに聞こえませんように)



「はは、お前は相変わらず冷たいな」


『クロロは相変わらず軽いのね』


「心外だな。オレはなまえ以外にこんな態度は取らないぞ?」



なんでこの男は、こう女がときめくような事をさらっと言うのだろうか
(思わず、頬が赤くなる)
(何照れてんだ、私の馬鹿!)

顔の赤みを隠すために、マフラーを鼻の位置まで上げた
(照れてるなんて、思われたくない!)



「あれ?照れてるの?」


『なっ!照れてなんか…!』


「顔、真っ赤だぞ」


『〜っ!』



マフラー意味なし!


恥ずかしくなって黙ってしまった私を見て、クロロはおかしそうにクスクス笑った



『ば、馬鹿にしないでよ!』


「クク…すまない。なまえの反応が、あまりに可愛いものだから、つい」


『な!ば、馬鹿じゃないの!?//』


「そうかも知れない」



そう言うと、ふわり、とクロロの顔が私の顔に近づいてきた

不敵な笑み
思わず身が堅くなる








「オレは、なまえ馬鹿みたいだ」



もう、耳元で囁くの反則!!




冬は嫌いだったけれど


貴方が手を繋いで、私の手を温めてくれるなら話は別
(よし、プリン買いに行くか)
(は?今から!?)




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