「変態」
「え、何?やっと自分が変態だって気付いたって?」
「違うよ、君が変態ってこと」
「なんで」
「だって僕の身体見て欲情してたじゃないか」
「してないよ。ちょっとムラっとしただけ」
「……◆」



だってそりゃあ目の前にノーメイク、濡れた髪、無駄のない筋肉、嫉妬するくらいキレイな肌と白さを持ったスタイル抜群男がいたらムラっとしない奴なんていない。ってゆうか、普通に見惚れるぞ、これは。まぁ私はもうちょっと肌黒くてもいいと思うけどね。



「ムラっとした、って発言自体が変態発言だってことに気付きなよ」
「え、何。自分の事は棚に上げてるの…?まじで?」
「何をそんなにショック受けてるんだい。ただ君と僕が同類になっただけじゃないか」
「なってないよ勘違いしないで」



私は変態じゃない、至って正常だ。健全な女の子だ。だからイケメン、風呂上がり、半裸を見てムラっとするのは普通なのだ。ただ、中身が残念な奴がその容姿を持っているだけの話。あれ、そう考えたらヒソカって格好良いけど、中身最悪ってことだから凄く勿体無い人種じゃね?神様も罪な事をするもんだ。まぁ、人って一個くらい欠点持ってるもんだしね。ヒソカの場合それが性格に表れただけか。あれ、ますます残念な奴。



「君、人を貶すのもいい加減にしなよ」
「えっ私誰か貶した?」
「心の中で僕の事ボロカス言ってたじゃないか」
「………」
「ククッ、そんなに驚いた顔しないでくれよ。興奮するじゃないか」
「いや、興奮する意味分かんないから」


喉を鳴らして笑うヒソカはどこからどう見ても変態だった。ってゆうかさっさと服着ればいいのに。十分目の保養になったからさ、うん、ほら、早く服着てきなよ。あれ、何でこっち迫って来てるの?私の後ろは壁しか無いよね?あれ??


「………ヒソカ?」


何だかさっきより色気増してね?ってゆうか壁に追いやられた。やっべ、何か冷や汗でてきた。ついでに顔も引きつらせる。そんな私を見てもヒソカはいつものようにニッコリと笑顔を返すだけだった。いやいやいや、何の展開?どっかで何かのスイッチ押しちゃった?



「どうしたんだい?脅えて」


いや、脅えてると言うかね!何か嫌な予感しかしないんだよね!ゆっくり足を横に出してスライドするように移動しようとしたら、ヒソカの足でそれを止められた。ついでに目線を少し下げた瞬間、両手が頭の上に。あれぇ!?ヒソカさんちょっと近くないですかァァァァ!!!


「何の真似かな、ヒソカさん」
「君、そうでもしないと逃げるじゃないか」
「そりゃあね!こんな近寄られたら誰でも逃げたくなるわ!」
「どうしてだい?君だって欲情してただろう?」
「いや欲情はしてな……って、それとこれとどういう関係性が……」
「僕も興奮してきたから◆」
「いやいやいや」

ゆっくり近づいてきたヒソカに、もう逃げれないと思った私は諦めて目を瞑った。……と見せかけて、瞬時に両足を浮かせると、そのままヒソカの腹に蹴りをかました。油断していたのか、軽くうなって一メートルほど遠のいた。そのすきを狙ってヒソカの腕から逃れると、ダッシュで部屋を飛び出した。



「…何だ、そう言う事か」



打って変わってニヤリと笑ったヒソカは、すぐに着替えると私の後を追って来る。そうして決死の鬼ごっこが開幕したのであった。……あれ、これって私悪くないよね?



にやにや笑ってる君へ



そろそろ止めませんか。…って言いたいけど、言ったら何か負けな気がするから言えない……くそぅ。


















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