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「クラピカ、今日はどんな天気?」
「そうだな…。星が、とても綺麗だよ」
「そっかぁ、素敵だね」
そう言って、私を振り向きふふふ、と楽しそうに笑うなまえ
なまえの頭を優しく撫でながら、私は静かに眉を潜めた
なまえは、この満天の星空も、目の前の私の顔すらも見ることが出来ない
生まれつきな訳ではない
全ては、私のせい
私がなまえを旅団との争いに巻き込み、君の視力を奪ってしまった
目が見えなくなったとわかった時、なまえは一瞬だけ絶望した様に呆けた顔をしたけれど、私が声をかけるとすぐにいつもの笑顔を作って
「クラピカ、私の世界、真夜中みたいに真っ暗で綺麗だよ」
そう言ってまた優しく笑う
そんなの、すぐに嘘だとわかった
だけど、なまえの言葉が、あまりに優しくて、悲しくて
「そう、か」
私は胸が苦しくて何も言う事が出来なかった
辛いくせに、本当は今にも泣き出してしまいそうなくらい悲しいくせに。
君は、こんな時でも私を気遣ってくれているのに、私は。
私は、自分の復讐の為に君を巻き込んだ
自分の不甲斐なさにどうしようも無く苛立ちや後悔を感じながら、なまえの手を強く握る
すると、なまえは一瞬驚いた様にピクリと手を動かしたけれど、私の手だとわかるとギュッと優しく握り返して
「私の世界は真っ暗だけど、目を閉じたらあなたの眩しい笑顔が浮かぶから怖くなんかないよ。……だけど、だけどね」
私の手を握る手が僅かに震えているのがわかる
それでも、やっぱり君は優しい笑顔を作ったまま静かに口を開いた
「クラピカの顔がもう見れないのは、少し、残念だなぁ」
その言葉を聞いた瞬間、ついにこらえられなくなり私は泣いた
なまえにバレない様唇を噛みしめ、声を抑えながら
「私が、名前の目になるから。君を真っ暗な世界に一人になんてしないから」
嗚咽をこらえ声を絞り出して、なまえを強く抱き締める
するとなまえは、私の胸に顔を埋めて小さく嬉しいと呟いた
―――それから私は、ずっとなまえの側で名前の目の代わりをしている
こんな事で罪が消えるなんて思っていないが、君が「ありがとう」と笑ってくれる度に少し心が軽くなる気がした
私はなんとズルい人間なのだろう
本当は、君の側に居るのはなまえの為なんかじゃなくて、少しでも自分が救われたいからなのではないか。
最近よくそんな事を思う
あぁ、なんて酷い奴だ、私は。
大切な人を傷付けておいて、さらには罪滅ぼしの為に彼女の側に?
自分の醜さに吐き気がする
なまえはよく私を優しいと言うけれど、そうじゃない
本当は、私は……
「クラピカ?」
ハッとなまえの優しい声で我に返る
なまえを見ると、なまえは何やら心配そうな顔で私の方を見ていた
「ん?どうした、なまえ」
優しく声をかけ、なまえの頭を撫で微笑む
「声が聞こえなくなったから、ちょっと不安になっちゃった。……ごめんね、」
「謝らなくていい。私はここに居るから、な?」
「……うん」
眉を下げたなまえを、ギュッと優しく抱きしめる
謝らなければならないのは私の方だ
すまない、
守ってあげられなくて。
君の世界を奪ってしまって。
醜い私で。
不安にさせて。
本当に、ごめん
「わ、雨だ。今ほっぺにポツって来た。クラピカ、家に帰ろう?」
「……あぁ、そうだな」
「せっかく綺麗な星空だったのに、残念だねぇ」
「……ああ」
なまえの手を引きながら、ゆっくり顔を上げて空を見上げる
空は、相変わらずたくさんの星がキラキラと輝いていた
星空から降り注ぐしょっぱい雨
いつか晴れる日が来るのかな
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