「まだー?」
「…んー、まだー」



赤の他人の家にお邪魔してパソコンで調べ物をするシャルの背中を見つめること2時間。さすがに飽きた。ので、ベッドにごろんと寝転がって、天井を見上げる。んー何だか眠くなってきたな。



「ちょっとなまえ!寝転ばないでよ!あんな汚い男が寝てたベッドだよ!?」
「ぶはっ!シャル酷過ぎ」
「あーもう!後ちょっとで終わらせるからこっち来て」
「はぁい」



パソコンをするシャルの横まで来ると、背中を払われた。そんなに汚くないと思うけどなあ、と笑えば、グイッと引っ張られてシャルの膝へ。恥ずかしくてビックリしてシャルを見れば、大人しくしててねーと、まるで子どもをあやす様にそう言われた。ムカついて腕を抓ったら「痛い痛いごめんって!」と涙目になりながら言ってきた。可愛すぎる。



「ねぇ、あとどれくらい?」
「ん………はい、これで終了っと」
「終わり?終ったの!?」
「終ったよ。」
「わーい!デートデート!」



シャルの膝から飛び降りて玄関に向かってルンルンで走ってそのまま外へ出た。少ししてシャルも出て来て手を繋いで一緒に街へ向かった。



「どこ行く?何する?」



シャルの手をぐいぐい引っ張って、いつもより高いテンションの私にシャルは苦笑いしながら「どこでもいいよ」と言った。うーん、それが一番困る。けど、実はもう行きたい所は決まってたりする。



「今、超話題の映画!」











私の提案で話題の映画を見た後、近くの人の少ない公園に来た。人の多い所にはいられない状況にあったから。何てったって私は泣いてるのだ。映画を見て。




「なまえが好きそうな話だったね」
「うん、…でもね、映画で泣いてるんじゃないんだよ」
「え?」



映画を見た後で、色々考えてしまった結果、頭の悪い私はあり得ない事を想像した訳だ。



「映画みたいに、シャルが私に黙ってどっか行っちゃったらって思ったら悲しくて悲しくて」



ああもうほら、また涙出てきた。目をごしごしとこすっていると、シャルがふ、と笑いながら私の肩に頭を置いてきた。重い。



「ど、したの」
「いや、可愛いなあと思って。大丈夫、俺絶対、なまえの前から黙っていなくならないから」
「…うん。絶対だよ」
「ってゆうかむしろ、無理矢理でも連れてくかも」
「強制連行ってやつですか」
「そう言うやつです」



あはは、って笑って、それから目が合って、唇が当たった。シャルの綺麗なエメラルドの目に私が写ってる。泣き腫らした目だ。なんて不細工なんだろう。シャルの綺麗な目に映る自分が見てられなくて、シャルの胸に倒れ込んだ。



「甘えてるの?」
「んーん。シャルの目に映りたくないの」
「何で?」
「……ブスだったから」



どの辺が?と、シャルが私の頬を包んで顔を覗き込んできた。それから目じりにキスをして、もう一回唇に。ああもう、シャルが好きすぎる。







ハニーハニー
目をそらさないで。
俺だけを、私だけを見て。


















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