「シズちゃん、起きてー…」


心地好い眠りから、体を揺すられ目覚める。
ゆっくりと目を開けると目の前にはエプロン姿の臨也の姿があった。
俺が起きたのを見て、臨也はふにゃりと笑って「おはよう」と言ってきた。だから俺も「はよ」と答え、臨也を抱きしめた。


「シ、ズちゃん?」


臨也はちょっと動揺し顔を赤らめながらも俺を抱きしめ返す。
俺と臨也が同棲し始めたのはつい最近で、きっかけは…


「あ、シズ君おきたの?おはよう!」

「静雄…お早う」

「静雄さん、お早うございます」

「静雄、はよーっす!」


この俺と臨也に顔がそっくりな四人のアンドロイドだったりする。


「シズ君中々おきないから、朝ごはん、まだなの」


そう言って俺の脇から俺を抱きしめてきたのはサイケ。


「…、お腹空いたぞ」


控えめに俺の服の裾を引っ張ってくるのが津軽。
津軽とサイケは恋人というやつで、何時でも何処でもラブラブいちゃいちゃしている。
正直言って俺等と同じ顔の二人が俺等と違う緩みきった表情でラブラブしているのを見ると、違和感を覚えるが。
だが俺はこの二人を応援している。
何時までも幸せに居て欲しいなんて思っていたり。


「静雄さん、朝食を臨也さんが用意してくれています、行きましょう?」


と言ってにっこり笑い俺等から一歩離れた所に居るのが日々也。
そして日々也にも恋人がいる。
それが、


「とりあえずリビング行こーぜ、腹減ったー!」


日々也に後ろからもたれかかってだれている、一言で言うとピンクの俺…デリックだ。
この二人は…何というか、少し変わり者だ。
俺と臨也と津軽とサイケだけでも濃いのだが、それを軽く上回る程には変わっている奴等だ。
それでもお互いはお互いを愛しているのだから、この二人もまた幸せなのだろうな。


「皆、悪かったな。おはよ」

「ん…シズちゃん、何か皆お腹空かせてるみたいだし、早く下行こっか」


俺を抱きしめていた腕を離し臨也が笑った。
「そうだな」と相槌を打ち、俺はベッドから出る。


「津軽ー早く行こっ!」


サイケが嬉しそうに津軽の元へと走りよる。
そんなサイケの頭を撫でながら津軽は優しく微笑んだ。


「嗚呼。サイケ、手繋ぐか?」

「繋ぐ繋ぐ!…あ、やっぱ繋がない!」


一瞬目を輝かせてからサイケは思い切り首を横にふる。


「?」


津軽は疑問符を顔に浮かべ、サイケを見つめる。
すると「えへへー」と笑いながらサイケは津軽の腕に抱き着いた。


「こっちが良い!」


まるで天使のような笑みを浮かべ、サイケは笑った。
それを見て津軽は幸せそうに笑い、またサイケの頭を撫で、サイケとともに部屋を出た。


「じゃあ我々も行きますか、デリック」


津軽とサイケを眺めた後に日々也がデリックを手招きし部屋を出ようとした。
するとデリックは日々也の腕を引っ張り、自分の方へ引き寄せた。


「で、デリック?」


ぽすんと可愛らしい音とともに日々也はデリックの腕の中へダイブ。後、相当驚いた顔でデリックを見上げた。
デリックは口角をくいっとあげ、日々也を抱き上げた。
所謂お姫様抱っこというやつか。
された側の日々也はこれでもかと言う程に顔を赤くさせている。


「日々也、顔あけーぞ」


デリックがからかうようにいえば日々也は更に顔を赤くし、


「う、煩い!運ぶならとっとと運べ!」


と叫びデリックの方へ体を預けた。


「りょーかい、お姫様」


へらりと笑い、デリックは日々也を抱っこしたまま部屋を出た。


「「…」」


残されたのは俺と臨也だ。


「何かさあ、不思議だよね」


皆が去っていったドアを見つめたまま臨也が呟いた。何の事だ、と尋ねると臨也はこちらを向いて眉を下げ笑った。


「今、こうして俺がシズちゃんと何気なく日常を過ごしてるなんてさ」


まあ確かに、出会った時の頃を思い出すとこの日常は非日常である。


「シズちゃんの傍に居て、人並の幸せ感じたり、愛したり、愛されたり、思ってくれる人が居たり、思える人が居たり…俺、すごい幸せだよ」


臨也は泣きそうな笑顔で言った。どこか震えているその声を聞き、俺は無意識に体が動いていた。


「え…」


臨也を抱きしめる。ただひたすらに抱きしめる。


「正直よ、俺これが現実か疑ってんだ」

「シズちゃんが?」

「お前が笑って俺の傍に居て、俺を愛してくれてんだぞ?幸せ過ぎてこの生活が信じられなくなる時だってある」


「でも、」と俺は続ける。


「今俺が抱きしめてる臨也の体温は本物だと思うと、今度は泣きそうになる」

「…シズちゃん、が?」

「嗚呼。『あー俺今めちゃくちゃ幸せだ』って思ってよ」


臨也が笑って俺を愛してくれて、俺も心から臨也を愛せて。
津軽とサイケも互いを愛しあって、いつも笑って。
デリックと日々也もお互いが互いを必要として、互いを愛しいと思っていて。


「だからな、俺はずっとこのままがいい」


そっと遠慮がちに回された臨也の腕の温度を背中に感じ、口元が緩む。


「愛してる、臨也。大丈夫、ずっと好きだぞ」

「シズちゃん、ずるい…俺が言って欲しかった事…さらりと言っちゃうんだから」


俺の言葉を聞き、臨也は花のような笑顔を見せた。


「俺もシズちゃん愛してる…ずっと一緒、離れるなんて考えられないな」

「おう、…臨也」

「シズちゃん…」


この雰囲気はあれか。キスか。
だなよしキスしようそうしよう。心なしか臨也も俺とキスしたがってるように見える。
そう思い、俺は臨也の頬に手を触れさせる。
赤く染まったその頬が、全てが愛しくて堪らない。
そうして、俺と臨也の距離が縮まっていく。
ああ、そういやサイケ達がリビングで待ってるんだっけか…。まあキスだからそんなに時間はかからないだろう。


(あとちょっとだけ待っててな)


そう心の中で皆に手を合わせ、俺は臨也の唇に自分の唇を重ねた。





今日も平和です



(みてみて!イザ君とシズ君がちゅーしてる!)

(サイケ、あんまり煩くすると見つかるぞ)

(デリック、何時まで我々はのぞき見をしてればいいのかな、退屈だよ)

(じゃあ乗り込んじゃいます?)

(((さんせい!)))







15000記念リクエストつくし様からのリクエスト品で、「静臨+津サイ+デリ日々同棲設定でらぶらぶちゅっちゅな感じのお話」でした!
甘過ぎたか…?←
書いてて楽しかったです!
同棲とかおいしすぎて^//^←
リクエスト有り難うございました!


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