一つ言えるのは、今オレ最高に不機嫌!


「サイケー…機嫌直せってば…」


津軽がオレを抱きしめながら困ったような声を出す。
でもオレ怒ってるから返事してあげない!


「サイケー…」

「…」

「サイケってば…」

「…」

「……」


あ、津軽も黙った。
津軽泣き出しちゃうかな。
でもオレの方が泣きそうなんだもん。


オレが不機嫌な理由はとても単純で、津軽が臨也君とちゅーしてたから。
それだけ、それだけなんだけど、弾みでちゅーになっちゃったって知ってるんだけど…それでもオレは泣いちゃいそう。
面倒臭い奴だと思われてるかもしれない。
もう別れたいとか思われてるかもしれない。
でも仕方ないじゃん。オレ、こどもなんだもん。
あ、何だか思い出したらまた泣きそうになってきた。


「…」


我慢出来なくなって、オレは津軽を抱き返す。
ほんのり香る煙草みたいな香り。
津軽の香りだ…。
オレが機嫌を直したと思ったのか、津軽は安心したように息を吐いた。


「…サイケ、御免な」


…津軽は、ずるい。
津軽はオレが津軽を大好きなのを知ってるから、耳元でオレの大好きな声で囁かれたら、もうこれは許すしかないの。


「オレも、悪かったから、もう良いよ」


震えちゃう声を必死に抑えて絞り出した音。
それは笑っちゃうくらいミジメなやつで。
とっても恥ずかしくなったから、津軽を更に抱きしめた。
そしたら津軽がやっと笑ってオレを抱きしめて、オレにちゅーをした。
何回も何回も。


「これからは気をつける。俺が愛してるのはサイケだけだぞ」


そんな事言われたらこれ以上怒れないじゃん、ばか。
オレは顔を赤くしながら照れ隠しに毒をついた。





もう怒ってないよ



(だから一杯)
(オレにちゅーして?)






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