俺とシズちゃんは体だけの関係であった。
今日も目を覚ませば隣にシズちゃんが眠っていた。
俺は身体を起こそうと腰をゆっくり曲げると、鈍い痛みに襲われる。


「…っ……」


痛みに声を抑え、何とか起き上がる。
そういや昨日もいつもの通り酷い抱かれ方だった。


俺とシズちゃんが身体の関係を持ったのがいつからだったのかは忘れた。
関係を持ったその日からお互いに身体だけを求め合った。
否、俺はシズちゃんの心も求めていたのだが。


「ったく…シズちゃんはいつまでたっても"俺"を求めてくれないんだから」


シズちゃんが起きないように小さく呟く。
シズちゃんはいつも俺の身体だけを求めた。
最初は俺もそれで構わなかった。
でも今は違う。


「今はさ…シズちゃんが好きなんだよ」


染めてるくせに綺麗な金髪を指で梳いてみる。


「早く気付いてよ、馬鹿」


最後にそう言い残し、俺はベッドから立ち上がる。
いや、立ち上がろうとして、


「待てよ」

「っな…!」


シズちゃんに後ろから抱きしめられた。


「シ、ズちゃん…いつから起きてた…の…?」


抱きしめられて、シズちゃんの体温がじかに背中から伝わる。


「さっき」

「どこからッ…」


俺は身体を振り向かせ、シズちゃんの胸に縋る。


「どこから聞いてたのっ……!?」

「…最初から」


シズちゃんの俺を抱きしめる力が一層こめられる。


「馬鹿、シズちゃんの馬鹿、離せ、よ…!」


ただただ恥ずかしかった。シズちゃんは俺なんか求めてない。俺はシズちゃんを求めてるけどシズちゃんは俺なんか…!


「好きだ、臨也」

「…は?」


混乱した頭に心地好い低音が響く。


「だから好きだっつってんだよ、ほうけた顔すんな」


シズちゃんは俺の額にキスを落とす。


「だって、なんで…だってシズちゃんは俺なんか嫌いでしょ…?」

「…俺はお前に嫌われてると思ってた、」


シズちゃんは悲しそうに笑って、俺の頭を撫でた。


「だから、俺は臨也が俺を好きにならないんなら、せめて俺とヤってる時だけは俺の事を考えさせたかった」


気持ちいい、心が温かくなるような撫で方だった。


「…ねえシズちゃん、」

「あ?」


シズちゃんをぎゅっと抱きしめる。
聞こえたのはシズちゃんの心音。
ちょっと早く動いてる気がする。


「俺の事好き?」

「…さっき言ったろ馬鹿」

「きちんと言ってくれないとわかんない」


そう言うとシズちゃんは困ったように考えこみ、ふ、と思いついた顔をした。


「ちょっと腕離せ」

「え、なんで……」


もたもたしていたら腕を思い切り引きはがされた。
その代わりに俺のそれぞれの指の間ににシズちゃんの指が入ってきた。


「こっちのが顔見える」


そして、唇にキスを落とされた。


「……ん、んん…」


それは今までのキスとは違い、一番甘いキスだった。


「…言葉より行動のが分かりやすいだろ」

「っは、流石単細胞シズちゃん」

「んだと…?」


軽く笑ってシズちゃんは俺をベッドへ押し倒す。絡まれた指は今だこのままであるから抵抗がしにくい。


「シズちゃん、俺もう今日はヤんないよ!?」

「うっせ、優しくしてやるから騒ぐな」

「何言って…ッ、あ…!」


その後は今までで一番優しくて、とろけそうな程に甘い時間だった。
次の日俺の身体は使い物にならなかったのは言うまでもないだろう。





君と繋がった瞬間


(君と心が繋がった)
(確かな安心感を)
(唇と指で頂戴)






………………………………………

戸次様キリ番リクエストで、「すれ違ってたけど最後にはお互いの気持ちに気付く静臨」…………………になってましたかね?´∀`
なんか……大丈夫なのだろうか←
すれ違ってない気がするというかすれ違いをうまく使えてないというか…!!
でも頑張りました((
リクエストありがとうございました!










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