今日の臨也はやけに不機嫌であった。


「臨也、飴いるか?」


と俺が聞いても臨也は


「要らない」


の一点張りであった。
いつもなら可愛い笑顔で「頂戴」って言って来るくせに。


「何だよ臨也、機嫌悪くねえ?」

「…別に」


臨也は口を尖らせ、俺を睨みつけてくるだけである。


「折角久しぶりに二人だっつーのに…楽しくねえの?」


そう、今日は屋上で臨也と二人きりなのだ。
付き合ってやっと始めての二人きりだと言うのに。


「…あのさ、シズちゃん」

「何だよ」


やっと臨也が俺に話し掛けてきた。
返事をすると、臨也は俺に近付いたかと思うと


「…な、」


ナイフを向き立ててきた。


「あのさ、シズちゃん。俺とシズちゃんって付き合ってるんだよね?」


臨也は未だに俺を睨んだままである。


「…当たり前だろ」


俺が答えると臨也はふっと笑った。
睨んでくる瞳は変わらないままなのだが。


「じゃあさ、何で他の女子に腕組まれてたのかな?」

「腕?」

「嗚呼。今日廊下で、シズちゃん女子に腕組まれてたよねえ?」


…臨也に言われて思い出す。
確かに今日、俺はクラスの女子に腕を絡みとられた。
それを臨也が見ていたのか。


「俺が居るのに他の…やっぱりシズちゃんは女子のが良いんだ?」


冷静を保っているつもりなのだろう、臨也は淡々とした口調でいる。
度々声が震えているが。


「シズちゃんの馬鹿、俺を好きだって言ったのは嘘だったんでしょ?大嫌いな俺を馬鹿にするために好きだって俺に言ったんでしょ?」

「臨也、」

「見事にシズちゃんは目的達成だね、俺を傷つける事に成功さ」

「…傷ついたのか?」


臨也のナイフを持つ手も震えている。
臨也の瞳からはもうすぐに零れそうな程、涙が張っている。


「…ったり前、じゃん…俺がどんだけシズちゃんを好きなのか…知らないの…?」

「……臨也、」


今にも泣きそうな臨也を思い切り自分の腕で抱きしめる。


「はな、せ…!」


臨也が俺の胸をどんどん叩いて来るが、痛くない。


「離さねえ」

「……」

「良いかよく聞け、臨也」

「…聞きたくない」


臨也が耳を塞ぐので、俺は臨也の額に口付けた。


「何すんの…!?」

「手前が聞こうとしねえからだろ」

「もう、離してよ、聞きたくない、どうせ別れようとかでしょ、」


まだ駄々をこねるか…。
一つ大きなため息をつき、臨也を見つめる。


「あっち、行って…もう俺を抱きしめない…で…!?」


唇に柔らかい感触。
臨也の体は硬直し、顔が赤くなっていっている。






臨也にどうやってクラスの女子の誤解を解こうか。
まあそんな事はゆっくり考えるとしよう。


「臨也、お前は勘違いしてるぞ」

「…は、?意味わかんない」

「俺は臨也を愛してる、嘘なんかじゃねえよ」

「……なっ…!。」




あっちに行けと言わんばかりの唇

(そんな唇は俺の唇で塞いでしまおう)
(こんな可愛い嫉妬をしてるお前が)
(世界で一番好きなんだよ)







………………………………………

という訳で!!
戸次様のサイトと相互リンク記念小説、
戸次様リクエスト「来神 静臨」でした!

来神時代の静雄は無自覚モテ男で臨也はそれに可愛く嫉妬しちゃえばいい←

戸次様、この度はリンクありがとうございました!










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