真夜中に何故か部屋をノックする音が響いた。
こんな時間に何の用だ、とドアを開けると。


「…シズちゃん…」


泣きそうな顔で…つか泣いてる臨也が、これまた…猫のぬいぐるみ抱きしめて突っ立っていた。
…破壊力抜群だぞ…これ。


「…何で泣いてんだ」


必死に平常心を保ち臨也に聞く。


「ん、とね、怖い夢見た」


…お前は子供か!
思わず内心で突っ込んだ。
でも顔を真っ赤にし、必死で涙を拭ってる仕草は…なんかこう、可愛いよな、うん。ぬいぐるみ抱きしめてて尚更可愛い。


「んで、怖い夢見たから何だってんだよ」

「っの…その…」

「ん?はっきり言え」


もう臨也が何を言いたいのか想像はついてる。だけど何となくこれは今の臨也の口で言わせたい。
…なんでだろうな。


「…怖い、から一人で寝れないの」

「だから?」

「っ…ズちゃんの意地悪…!」

「ちゃんと言わねえとわかんねえなあ」

「〜っ!!」


泣きながら睨まれても何も怖くねえんだがな。
そしてついに臨也は、顔を茹蛸のように真っ赤にし、消え入りそうな声で呟いた。


「……一緒に寝て?」


はいこれきたわ。これくるわ。きたわ今のやべえって。
涙目上目遣いで、顔赤くて首傾げて猫のぬいぐるみ抱きしめて。
しかも「一緒に寝て」ってお前…破壊力抜群過ぎるだろ。





…ということで今俺の布団の中には俺と臨也が居る。
当の臨也はさっきの涙顔はどこへやら。
小さな寝息をたてすやすや寝ている。


「…やべ、可愛い…」


こうやって寝顔を近くで見る機会は何度かあったがこんなにまじまじ見るのは多分初めてだろう。


「……」


ゆっくり優しく、臨也の頭を撫でてやる。
それから臨也と自分に布団をかけ直して…




目を閉じてみる


(…臨也の香りする)
(…これは臨也の心音か)
(あ、すげー…落ち着く、かも)


「…お休み、臨也」














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