…俺の想い人、折原臨也は猫のような人間である。


「シズちゃんまたいちごみるく飲んでるー、それ美味しいの?」


今も奴は小首を傾げ俺を誘ってくる。
この仕草がこれまた天然と来た。
もうこの仕草天使だろ。臨也まじ天使。


「…いーだろ別に俺が何飲んだって」


嗚呼畜生!!また緊張し過ぎでぶっきらぼうな言い様になっちまった!
俺が後悔して肩を落としていると、臨也はつまんなさそうに


「ふーん」


と何だか微妙な顔をして俺の傍を離れていった。
嗚呼臨也、帰ってきてくれ。
今のは俺が悪かった、緊張した俺が悪かった。臨也の小さな背中が更に小さくなっていくのをただ見つめていると、不意に声をかけられる。


「…またやったのか、静雄」

「門田……」


門田である。


「だってよ、仕方ねえだろ臨也があんなに可愛いのがいけn「ちょっとお前黙っとけ」…」

「お前…臨也がお前のことどう思ってるのか知らないで臨也にあんな態度とってんのか」


臨也?臨也は可愛いです、はい。


「そういう意味合いじゃなくてだな…」


呆れた様子で俺にため息をついてきやがった。むかつく。
てかお前なんか最近いらつくぞ、
臨也の事全部知ってるような口ぶりでだな、ああでもない、こうでもないだのうっせえんだよ!
俺は俺の方法で臨也に振りむいてもらう…


「それが出来てたら臨也はお前にべったりだろーが」

「……」


そうだよな、臨也が振りむいてくれて、恋人になってりゃ今頃いちごみるくの飲み回しとかして、臨也が

「これ、間接ちゅーだね、」

とかほほ染めながら言ってたんだろうな…


「静雄、帰ってこい」

「はっ」


いけねえ、またマイワールドにトリップしちまったぜ、うっかり静雄☆


「…本当、お前ってギャップが激しいよな。見た目と内面の」

「…臨也ってギャップ萌えあっかな」

「もう本当お前黙れ」




…門田は心の中で一つ、大きなため息をついた。

(こんなんじゃあ両想いに気付くのもまだまだ先だな)

臨也はとっくに静雄が好きだ。
それに気付いてないのは俺らの中で静雄だけだろう。
…とうの静雄は臨也と話すと緊張してぶっきらぼうにしか受け答えできないし。
臨也がそういう態度にいちいち乙女チックに傷ついてるのも知らないんだろうな…。
お互いに気持ちを伝えるという手段はまだ怖くて使えないらしい。


「全く、本当臆病な奴らだな」

「ん?何か言ったか?」

「いーや、なんでもねー」




これじゃあ前には進まない


(二人とも、まだまだ臆病だ)







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