▼11/03/21 温かなナイフは僕の死を願い
「ねえ、シズちゃん…死んでよ」
そう言われた瞬間に腹に小さな鈍い衝撃。
「また…ささんない」
臨也は呆けたように呟く。
「本当にシズちゃんって化け物だよね、ナイフが刺さんないとか何な訳?」
別に死にたくない訳じゃない。
こんな面倒な体はすぐにでも壊れてしまえば、と何度思った事か。
「嗚呼…でも俺はそんな化け物を好きになっちゃった訳なんだよね」
鋭い臨也の瞳が俺を貫く。
「シズちゃん、死んでよ。
何で俺はシズちゃん好きになっちゃったの、
俺は人間が好きなんだ、
シズちゃんみたいな怪物なんかこれっぽちも愛してな…!?」
とりあえずは煩い口を口で塞ぐ。
黙れと言うのも面倒だから。
まだ腹に残っている、温かなナイフの感覚。
温かなナイフは僕の死を願い
(でも俺は死なない)
(お前が俺を好く限り)
(俺がお前を好く限り)