化け物×化け物 | ナノ




25 公園、否戦場


『終わったー!!!!』

12月初頭。無事、テスト終了。

静「名前ー。一緒に帰ろうぜ」

『うん!!』





外に出ると、晴れだっていうのに寒く身震いする。もうすっかり冬だ。

最早コートとマフラーは必需品。

『寒いですね〜』

静「寒いな」

息を吹きかけたり手を擦り合わせたりするけど、一向に温まらない手。

静「ほれ」

静雄さんから差し出された手。

『?』

静「さ、寒いんだろ?」

成る程。手を繋ぐ、ということか。

静雄さん。そっぽを向いてても赤い耳が見えてますよ。

きっと私も同じように耳まで赤い。
多分寒さのせいだ。全部寒さのせいにしてしまおう。

私はぎゅっと静雄さんの手を握りしめた。
静雄さんの手は私の手よりも温かくて大きくて安心する。

静「公園寄ってかねえか?」

『いいですよ!』




私達は学校からすぐの公園に入ることにした。

丁度良い。静雄さんに話したいことがあったから。

「『あの』」

「『…』」

被ってしまった。

『お先どうぞっ』

静「お、おう。あのよ…ぇー。ク、クリスマ」

「お前が平和島静雄か」

静雄さんの声を遮って現れたのはいかにも柄の悪そうな人達。

「かかれ」

リーダー格と思き人がそう声を掛けると後ろにいた人達が鉄筋やら鉄パイプやらで静雄さんに襲いかかる。

静「ちょっと離れてろ」

静雄さんは私に気を遣ってそう言ってくれた。その言葉通りに私は少し離れた所に避難する。

静「うぜぇぇえええええ!!!!!」

静雄さんもすかさず反撃。
反撃というよりは襲いかかってくる人達を次々と飛ばして行く一方的なもの。





?「やあ」

そう声を掛けられて振り向くと、どこかで見たことのある黒い人。

唯一黒じゃないのは、学ランの下のTシャツくらい。

『えー…と。ぅーん…』

誰だっけ。名前なんだっけ。

?「ははっ自己紹介がまだだったね。俺は折原臨也だよ。よろしくね」

『…』

思い出した。屋上で会った嫌な人だ。

臨「君は残念ながら怪物の血を引いてる。だけどね。人間の部分は普通の人間よりも遥かに人間らしい!!愛おしいよ。だから人間の部分の君だけは愛してる。何故なら俺は人間を愛してるからさ!!!」

駄目だ。訳の分からない事を言っている。
私が単に馬鹿なのだろうか。全く理解できない。

顔を顰めていると、その人に向かってベンチが豪速球で襲い掛かる。

あっ当たる、と思ったけどその折原さんという人はひらりとかわしてみせた。

臨「残念。もうゆっくり話していられないみたいだね。今度は二人っきりでゆっくりお話しようね、名前ちゃん」

静「やっぱてめぇの仕業だったのか臨也。てめぇのせいで名前を誘えなかっただろうが死ねぇぇえええええ」

そのまま折原さんは逃げて行った。
それを静雄さんは追って行ってしまった。

残されたのは、私ただ一人。

『どうしよう』

その呟きでさえも、この池袋という空間へと溶け込んで消えてしまった。




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