物陰に隠れて、木の幹にシズちゃんを凭れさせる。
シズちゃんは俺が運んでいるときから息が荒々しくて、俺のコートを握りしめてずっと俺の方を見つめていた。
運んでいるとき、どんな顔してるんだろーなーとわくわくしながらシズちゃんの顔を見たら、そのヘーゼルの瞳がじっと俺を見つめていたから多分そうなんだと思う。
今のシズちゃんはまだ俺のコートを握っていて、耳も尻尾もへたりと項垂れていた。
その何とも美味しそうな姿を見て、俺は内側から何かが沸々と湧き上がるのを感じる。

「臨也……なんか、変…!」

ビクビクと体を震わせて。縋るように俺を見つめて。
そんな目で見られたら勃っちゃうよ、勃ってるけど。
俺が用意した薬のせいでふにゃふにゃになったシズちゃんの顔を覗き込むと、そりゃもう可愛くて。
目元は赤くなって瞳は潤んでるし、薄く開いた唇は濡れていて、首筋からは汗が一筋垂れている。
俺が限界ギリギリってこと、わかってるのかな。
赤くなった頬を両手で包み込んで、体を大袈裟に震わせたシズちゃんを横目にそのまま唇を重ね合わせた。

「んっ、ふ……!」

元から開いていた唇を割って舌を挿しこみ、その甘い口内を存分に堪能する。
奥に引っ込んだ舌を見つけて絡めて、じゅるじゅると食べるように吸いつくと、シズちゃんの体が面白いぐらいに跳ねた。
本当に舌が噛み千切られるとでも思ったのかな。そんなことするはずないのに。
何度も角度を変えて、暫くの間シズちゃんの唇を貪っていると、シズちゃんが遠慮がちに背を叩いた。
無視して貪っていると、今度は背中が引っ張られるような感触。仕方なく唇を離すと、視界いっぱいに赤く蕩けた顔が映る。

「やっぱり可愛い」
「はぁ、ふ、ぅ……」

必死に呼吸をしているシズちゃんを宥めるように頭を撫でると、その双眸が緩やかに細められた。
まるで何かを求めているような、そんな視線。
そんな視線を向けられて我慢できる程、俺も弱っているわけじゃないし、まだまだお盛んな20代。性欲には従っておかないと。
まぁ男に盛っちゃう俺は相当な変態だと思うけど。

「は、ぁ゛……臨也?」
「ん?ああごめん、ちょっと考え事」

苦しそうな呻き声を上げて兎の表情を窺う狼。嗚呼、なんて滑稽で愚かで可愛いんだろう。
欲望に濡れた瞳は、兎特有の真っ赤な瞳を一生懸命に見ていて、その無意識な仕草に俺の方がやられそうだった。
きっちりと着こまれたバーテン服を性急に脱がして、首筋に顔を埋める。伝った雫はしょぱかった。

「ぁ、あ!い、いざ、や……」
「大丈夫大丈夫。怖くないから」

多分背筋に走った快感に戸惑ったのだろう、シズちゃんが顔を歪めて不安で一杯になった瞳で俺を見つめた。
そんなに下半身を張り詰めて、苦しそうに息をして。
少し可哀想とも思うけれど、それと比例するように俺の中で増大していくのが嗜虐的な支配欲。
ああ、虐めたい。酷く、滅茶苦茶に犯したい。虐めて、泣かせて、俺なしじゃ生きていけないぐらい、滅茶苦茶に。
それを無理に押し込めて、狼の頬を撫でて宥める。無理につくった笑顔は少し歪んでいたかもしれない。

「ふぁ、あぅっ」

服の前を肌蹴させ、赤く色付いた突起に舌を這わせ、もう一方は人差し指と親指で弱く捏ねる。
腰を震わせて痛みと快楽に耐えるシズちゃんを見ていると、俺の方も昂られた。
胸でちゃんと感じているシズちゃんは意外と素質があるのかもしれない。天性の素質というべきだろうか。
俺は卑猥な音をたてながらシズちゃんを追い詰めていくと、段々と体に赤みが差していく。

「は、あっ、ぁ、だめっ……だか、いざやぁ……」
「だーめ。そんな声で名前呼んでもやめてあげない。それに、今やめられると苦しいのはシズちゃんでしょ?」

胸に這わせた手はそのままに、シズちゃんのズボンを押し上げて窮屈そうにしているそれを解放するために、ベルトを緩める。
胸だけに気を取られているシズちゃんは気付いていないのか、髪をパサパサと揺らして快楽に耐えている。
ジッパーを下ろして下着越しに揉みこむと、シズちゃんの瞳は驚愕に見開かれた。
濡れた唇はわなわなと震え、瞳は不安と戸惑いと驚きの色を隠しもせず、只絶望しているような表情だった。
そんな顔しなくてもいいのに。でもそんな顔も好きだけど。

「あふ、ふぁ、あ……」

やんわりと揉みこむように撫でると、シズちゃんは吐息とともに甘い声を漏らす。
ここ、一度も触ったことないのかな。俺が今まで見てきた限りでは、この反応は初めてだろう。
勢いに任せてズボンと下着を一気に下ろすと、質量が増した綺麗なそれが現れた。
自分でも排泄や入浴時以外には触ったことがないらしく、緩やかに首を擡げている様子を見て、シズちゃんは目を丸くさせている。

「ここ、触ったことないんだ?」
「だって、こんなとこ、普通つかわな……っ」
「こういうときには使うの。だから俺がすること、見てて」

俺は片手でやんわりと包み込むと、上下に扱く。偶に尿道口を抉ったり、裏筋を擦ったりして。
そうすればシズちゃんは頭を左右に振って、言葉にならない声で喘ぐ。
真っ白なシズちゃんを、俺が浸食して、汚して。そんな気がして俺の支配欲はじわじわと満たされていった。

「ふあ!いざっ、あぁんっ、うぁ!」

木がミシミシと音を立てて倒れそうだったから、シズちゃんのを虐めながらシズちゃんの体を寝かせた。
草のチクチクした感触が痛くないのかな、と思ったけど、当の本人はそれどころじゃないらしく。
先程まで胸を弄っていた俺の手をぎゅっと握って、快感に耐えているようだった。
そんなシズちゃんには申し訳ないけど、一回イってもらわないとね。俺の手、握りつぶされちゃうかも。

「あ、あぁ!そんな、やっ、あぁああっ!」

男の弱いところを重点的に扱いて追い詰めてくと、大袈裟と思える程体を震わせて、シズちゃんが達した。
俺は片手で漏れる白濁を受け止めて、それを舐める。初めての射精だからか、とても濃いような気がした。
ちらりとシズちゃんの方を窺うと、信じられないものを見るような視線を向けられていた。





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