押して駄目なら引いてみろ。
そんな言葉が日本にあるように、押して押して押しまくってそれでも駄目なら逆に引いてみたら上手くいくという諺。
これは扉でたとえ、人間もそうであるという意味がある、と思う。
けど、それは全人類に通用するわけではないと思う。
・・・否、俺が考えているのは最早人ではないのかもしれないけれど。
だからそのことを確立するために、俺は今、俺がアピールしまくってそれでも俺には振り向いてくれない大好きな(以下略)。
・・・とりあえずシズちゃんにそれを試すことにした。
絶対通用しないから、むしろ清々したとか言ってくるから、絶対。

「いーざーやーくぅん?」

おっと、早速実験対象発見!
ということで俺の中で俺だけしかやっていない実験が始まった。

その1:シズちゃんを無視。

「手前、池袋に来んなっつっただ・・・」

ギャーギャー煩いシズちゃんの横を普通に通る。
これには周りの群衆も驚いたようで、一体何があったのかという程に俺たちを見ていた。
シズちゃんに至っては俺が素通りした瞬間に怒声が止んだ。
そのまま歩いていると、後ろから追いかける音が聞こえてきた。

「おい、臨也くんよォ。手前無視するとはいい度胸だなァ?」

その2:シズちゃんを軽くあしらってみる。

「何、今俺忙しいんだけど」

冷ややかな視線をシズちゃんへ送ると、シズちゃんが目を見開いた。
それからまた歩いて、シズちゃんを無視。
どうせ自販機とか投げてくるんだろうな、とか思ってたら案の定。
自販機が飛んでくるような感じがしたから顔を少しズラすと、顔の真横に鉄の塊が凄まじい速さで壁にぶつかった。

「何で避けんだよ!」
「何言ってんの、普通避けるでしょ」

意味わかんない、と吐き捨てるようにシズちゃんに向かって言うと、背後から、う、と喉につかえるような声が聞こえた。
それも無視して携帯を弄りながら歩いてた。

「ちょっと待てよ、いつもはウザいぐらいに俺が忙しいときでもおちょくるようなこと言って・・・」







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