脱衣所に着いたのはいいものの、シズちゃんの動きが遅い。
いつもはハッキリした性格だから、脱ぐと決めたらあっさりと脱ぐのがシズちゃんなのに。
そんな男前なシズちゃんしか見たことがなかったから、正直こんなにも遅い動きなシズちゃんを初めて見た。
しかも眠気からか、目が何回も閉じかけている。
・・・これは危ない。
「シズちゃん、自分で脱げないでしょ?」
「・・・ぬげる」
そんなこと言いながら手が動いてないよ。
シャツを掴んだままの手は一向に動いてない。
正確にはシャツから腕を抜こうとしても、腕とシャツが絡まって脱げない。
俺は一つため息をついて、シズちゃんのシャツに手をかけた。
「ほーら、腕伸ばして」
「ん」
シズちゃんは観念したのか、腕をピンと伸ばした。
そのシズちゃんの腕からシャツを抜き取って、洗濯機に放り込む。
それでベルトに手をかけたら、シズちゃんが俺の手の上に自らの手を重ねた。
「それぐらいは、できる」
そう言って俺の手を払い除けて一人でベルトを外しにかかる。
・・・絶対無理だと思うんだけど。
案の定、手はもたついて上手くベルトのバックルが外せてない。
いや、もうここまでくると可愛いんだけどさ。
だってベルトと格闘してる平和島静雄なんて、滑稽だし可愛いし。
今目の前に広がっている光景が嘘かと思うぐらい。
「やっぱりできてないじゃん」
「うるせぇ」
「俺が外してあげるからシズちゃんは大人しくしてて」
今度は俺がシズちゃんの手を払い除けて、ベルトのバックルを普通に外した。
シズちゃんは唇を少し尖らせて拗ねていた。
そしてジッパーを下して、ズボンも一気に下ろす。
あ、下着まで下りちゃった。ま、いっか。
「な、い、いざ!」
シズちゃんは元から真っ赤だった顔を、もっと赤くさせた。
今更恥ずかしがることでもないのに。
最後にシズちゃんのサングラスを外して、頬にキスを一つ。
「先に入っててね」
シズちゃんの背中を押して、バスルームの扉を開けて、シズちゃんをそこへ押し込める。
すぐにシャワーの音が聞こえたから安心した。
俺は服を脱ぎながら、風呂場でのことを想像して口元を緩ませた。
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