「ねえシズちゃん、俺のこと好き?」

できるだけ真摯な眼差しで質問を投げかける。
さっきまで快楽に囚われていたシズちゃんは、いきなりの質問だからか目を丸くさせ、顔を真っ赤にさせて狼狽していた。
視線がうろうろと彷徨う。一瞬視線が合ったけどすぐに逸らされた。
やっぱり強姦紛いの…っていうか明らかに強姦したから嫌い、とか言われちゃうのかな。

「……き」
「え?何?」

シズちゃんが何か言った。けど、きの文字しか聞き取れない。
聞き返すと顔が茹で蛸みたいに真っ赤になっていって、遂には体がわなわなと震えだした。

「好きだっつってんだろ!変なところで空気読まないで、それぐらいわかれ!」

好き、だと。今そう聞こえた、というか言ったよね?
手を小さく震わせながら目許を覆うシズちゃんに、早くぶち込みたいと変態的欲求が湧いてしまう。
その尖った毛で覆われた耳を舐めると、引き攣った声が聞こえた。
もう可愛くて可愛くて、思わず抱き着いてその匂いを鼻腔いっぱいに吸い込んだ。
背に腕が回って、柄にもなく喜んでしまう。
やっと受け入れてくれた。否、強姦なんてことをした時点で自分に心を寄せるはずがないと思っていたんだけど。
一目惚れが成就するなんて滅多にないし。嬉しすぎて今にも狂いそうだ。
なんて心の中だけで惚気ていたら、抱き締めていた体が小さく震えだした。

「シズちゃん……?」
「お、お前、は……」

顔を覗きこむと、濡れたサングラスと共に真っ赤に腫れたシズちゃんの目と目が合った。
言いたいことは大体わかってる。けど、やっぱりその口から言ってもらいたいわけで。
そのままじっと見つめていたら、シズちゃんが小さくう、と唸り声を上げた。
今にも泣きそうな顔をしていたからこれ以上焦らすのは無理だと判断。
その腫れあがった可愛い目を隠しているサングラスを取って、直に至近距離で視線を合わせた。

「う、い、いざ」
「好きだよ。俺もシズちゃんが大好き」

気持ちを告げてずっと見つめていると、頬が熱くなってきた。
あー、かっこよくきめたかったのに。赤くなる頬を必死に抑えていると、シズちゃんの顔が一気に真っ赤に染まる。
その後、うとかあとか言葉にならない母音を呟いて、ゆっくりと視線を外した。
…うわあ、可愛い。これはもう据え膳だよね、誘われてるんだよね。
一人で勝手に解釈して、その欲望の塊をさっきまで尻尾が入っていたところに押し付けた。

「臨也…?」
「もう我慢の限界。相思相愛なら…いいよね?」
「ん、ぇ……?」

結構頑張って理性を保ったと思われる自分を褒めたいぐらいだ。
頭を撫でながら言うと、シズちゃんが目をぱちぱちと瞬きさせながら首を傾げた。
その可愛さに眩暈をさせながらも、意を決して腰を進める。

「んぁ、い、臨也!あ、ぐぅ…っ」
「っ……ごめんね、シズちゃん…無理させて」

謝罪をしただけでこの痛みから救ってやれない自分は卑怯だ。
シズちゃんは小さく息をしながら、必死に受け入れようとしていた。
その健気さに、必死に痛みを逃すような言葉をかける。額にキスを落とすと、もっと、と強請られた。

「ふぁ、いざ、やぁ!」
「ん、動くよ」
「あ、や、ああっ…!やっ、らめぇ、へん、なっちゃうっ…!」

やっと全部収まって腰をゆっくりと動かしていくと、シズちゃんが瞳を蕩けさせて今までにないぐらい喘ぎ始めた。
終いには、変になっちゃうって。
シズちゃんの無意識な可愛さにこっちが卒倒しそうだ。

「変になっていいからっ…」
「ぁ、らめっ!おれっ…ひゃぁ、あ、いざやぁ!」

それからシズちゃんのいいところを突く度に、俺の名前を呼ぶからこっちとしても結構な限界で。
その後はただ只管シズちゃんの中を抉り続けていた。
理性の箍なんてとっくに外れて、気付けばシズちゃんは気を失っていた。
やりすぎた、そう思った時にはもう遅くて。
そういえば新羅からシズちゃんを退治してくれと頼まれたんだっけ、と思い出したのは全て終わった後だった。


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