※SPECパロ





真っ暗な壁に覆われた中、唯一ガラス張りにされたその箱だけが不気味に光っていた。
平和島静雄はその異質な箱に入れられ、数人の警察官によって質問が次々と繰り返される。
その質問に静雄は淡々と真実を答えていくのだが、それは全て嘘とみなされた。
そしてここに飛ばされた。

「公安部公安第五課未詳事件特別対策係、か……」

ダンボールに極少ない私物を纏め、目の前の古びたエレベーターのようなものに視線を向ける。
その大がかりな機械の箱の中に入ってボタンを押すと、段々と上昇していく。
静雄の視界に入ったのは「公安部公安第五課未詳事件特別対策係」という看板と、トレッドヘアの強面な男だった。

「本日付で捜査一課に転属を命じられました、平和島静雄警部補です」
「おう、よろしくな」

その人物は田中トムと言って、何故か片手に柿ピーがたっぷり入った瓶を抱えていた。
静雄はそれに一切触れず、指示されたデスクへと向かう。
そしてトムが思い出したように声を洩らした。

「あーそうだ。ここにはもう一人、折原臨也っていう24歳の男がいんだけど…」
「酷いなあ、食い逃げだなんて」

急に響いたテノールに、静雄は目を向ける。
目を向けた先には、ガタイの良い黒人の男に髪の毛を鷲掴みにされ、口の横に餃子の皮をつけてエレベーターを上ってきた男がいた。
その男は左腕を骨折したように包帯で吊り下げていて、真っ黒なキャリーバックを持っていた。
静雄は、その様子に眉を顰める。
トムは嫌悪感丸出しで顔を歪めていた。
その男は黒人と口げんかを繰り返しながら、乱暴に口を袖で拭う。
どうやら会話の内容からしてその男は財布を忘れたみたいで、その会話に苛ついた静雄は口を開いた。

「いくらだ」
「イチマントンデ、ロッピャクエンネ」
「そいつ、よく食うから」

苦笑いをして財布を出すトムに、俺が払います、と言って静雄は自らの財布から紙幣を取り出した。
それを黒人に渡して、お釣りを受け取ってからまた自分のデスクに向かう。
そんな静雄の様子を見て、男は嬉しそうに笑った。
ガタイのいい黒人が帰った後、男はトムにすみません、と悪びれる様子もなく謝る。

「こいつが折原臨也。で、こっちが今日転属できた平和島静雄」
「平和島静雄って、あの不気味な事件の?うわ、どうもー、折原臨也です。お会いできて俺としては超光栄です」

敬礼したまま、静雄の周りをうろうろと動き回り凄まじい視線を送ってくる臨也に静雄は苛ついた。
只、視線はどこかを見つめたまま、ピッタリと止まっている。
面白い。臨也の静雄の第一印象はそれだった。
臨也は酷く嬉しそうに顔を歪めながら静雄から離れる。

「ところでシズちゃんってさー、スペックって知ってる?」
「知らねぇ。つーか、その呼び方やめろ」
「そっかぁ。スペックっていうのはね」

静雄の発言を無視して、臨也は胡散臭い霊能力者が映っているDVDを片手に、楽しそうに口を開いた。
物語は、まだ始まったばかり。




gdgdに始まりgdgdに終わる、それが私です←
最終的には当麻さんが臨也になってしまいましたorz
始まったばかり、とか書いちゃってますが終わってます、はい。
原作書いた人、どうもすみませんでした←

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