ドアノブに手をかけてマフラーを外しながら扉を開ける。こういうとき、静電気防止グッズを買っておいてよかった、とつくづく思う。
今日は寒かったから久しぶりにマフラーをして出かけてみた。
まぁシズちゃんはそのマフラーで俺を絞め殺そうとしてたみたいだけど。
シズちゃんがマフラー引っ張ったら、マフラーの方が悲鳴をあげて千切れちゃうと思うんだけどね。
そんなことを思いながら電気を点けると、何やらソファで蠢く金髪の青年。

………ん?
いや、確かにシズちゃんに合鍵は渡した。しかも、俺がいないときに勝手に上がり込んで、テレビ見ながらプリン食べてるなんて日常茶飯事だった。
でも、まさかソファでシャツと下着しか身につけずに寝ている、なんて。
シズちゃんの生足が惜しげもなく晒されてるよ!何ここ、俺得な天国?
こんなところで寝てると風邪ひくよ、なんて彼氏らしい言葉言ってあげたかったんだけど、今の状態の俺にはどうやら無理。
シズちゃん、と耳元で囁くように呼び掛けると、徐々に開いていく瞼。

「いざ、や……?」
「うん、ただいま」
「…おかえり」

そう言ってシズちゃんはふにゃりと笑っ……いやいや、嘘だ、これは夢だ。
シズちゃんがこんなに可愛い笑顔で俺に微笑みかけるわけない。できれば夢で収まらないでほしいけど。
そして俺の目に、テーブルの上に散乱したアルミ缶の数々が映る。
あれ、俺ワインとかしか置いてないはずだけど、と思ったらどうやらシズちゃんが自費で買ってきたらしい。
その中にビールの缶はなかったけど、これだけのアルコールの量を飲めば酔うに決まってる。
それも、お酒に弱いシズちゃんなら尚更。
自分のお酒の量の管理もろくに出来ないシズちゃんは相当な馬鹿。それくらいストレスがあったのかな。まぁどっちにしても馬鹿だけど。
そんな馬鹿で可愛いシズちゃんの頭を撫でると、俺の手に甘えるようにすり寄ってくる。
試しにその手を離してみると、切なげに俺の手を視線で追って、寂しそうに俯いた。
……うん、その行動はとっても可愛いよ、馬鹿で可愛い。

「ところで、何でズボン脱いでるの?」
「……あつかったから」

…それが尤もな理由だと思うけど。
暑かったからシャツ脱がずにズボンを脱ぐシズちゃんは相当可愛いよ、って思ったのは心の中に留めておく。
そして、その曝け出された足を我慢できずに撫でると、シズちゃんの体がビクリと揺れた。
絹みたいに触り心地のいい足を撫でていると、その足が徐々に震えだす。
その足の主を見てみると、熱っぽい吐息を吐きながらじっとこちらを見つめていた。

「どうしたの?」
「そんな、さわりかたっ…やっ……」
「じゃあ俺はどうやって触ればいい?」

自分でも意地悪な質問だとわかっていても、こんな可愛い恋人を虐めずにはいられない。
未だに焦らすように足を撫でていると、不意にその手が掴まれ、シズちゃんの股間へと誘導させられる。

「こ、ここ……さわるなら、ここがいぃっ……」

……うん、これは誘われてるんだよね。所謂デレ期だね!
そんな可愛くおねだりしてくるシズちゃんのそれを、下着越しに揉みこむ。
うっすらと開けた瞳が徐々に恍惚の色を見せるのがわかった。頬はアルコールのせいで既に赤く紅潮している。
何があったのかは全くわからないけど、今はお酒に感謝しよう。
シズちゃんに馬乗りになるようにその細い体を跨いで、勃ち始めているそれを焦らすように揉む。

「ふ、あ……いざや、なんれ、ぇ…?」
「ん?何のこと?」

呂律の回っていないシズちゃんの頭を空いた手で撫でて優しく微笑みかけると、シズちゃんが視線を彷徨わせて俺を見つめる。
残念ながら今回はそんな目で見つめられても折れるわけにはいかないんだよね。
この状況を最大限に活かして楽しまないと。いつも言ってくれないようなことも言ってくれるかもしれないし。
もう既に灰色のボクサーパンツには、色の濃くなった染みができていて何かを期待しているようだった。

「ふぅ、やらぁ……」
「あ、自分で触っちゃだーめ」
「ぇ?ぁ、やらっ!さ、さわりたい、のにっ…」

目を潤ませて小さく唸っているシズちゃんは可愛いんだけど、自分で触りたい、って。
うん、俺に触ってほしくはないみたいだね。
あーちょっとプチッときちゃったかな。じゃあもういいよ。

「じゃあそんなに触りたいなら触れば」
「あ……いざ、や?」
「一人で宜しくヤってればいいじゃない、じゃあね」

シズちゃんの反論も聞かず、寝室に逃げこんだ。
この部屋自体は防音だけど外からは音が聞こえるようになっていて、男のすすり泣く声が聞こえる。
これだから俺は駄目なんだ。優しさの欠片もない。
はぁと溜め息を吐くと、外から何かを飲む音が聞こえた。しかも頻繁に。
まさか。そう思って扉を開けてみると、案の定。

「っ、シズちゃん!お酒飲んじゃ駄目でしょ!」
「ぁ……いざやっ、ごめ…おれ、きらいにな、った……んだ、ろ?」

ぺたりと床に座り込んで、レジ袋にまだ入っていたチューハイの缶を片手に酒を飲み続けているシズちゃんの手をはたいて、缶を奪った。
すると、俺が傍に寄った途端にシズちゃんは俺の首に縋り付き、ごめんごめんと呂律の回らない唇で何度も何度も謝っている。
それも嗚咽を漏らして泣きながら。
どうやらシズちゃんは嫌なことや悲しいことがあると、すぐお酒に頼るらしい。
そんなの、俺に頼ればいいのに。俺に頼ってこないシズちゃんに少し苛ついて、やっぱり優しくなれない。

「嫌いだよ、シズちゃんなんか嫌い」
「う、ふぅ…」
「でも、シズちゃんが俺の前で恥ずかしいとこ晒して、自分で慰めるっていうんなら好きになってあげてもいいんだけど」

狂気に駆られている、その自覚はあった。
シズちゃんが弱っているのをいいことに、俺はシズちゃんに甘えてこんな条件を出してしまう。
駄目だ、そう思っているのに俺の口は止まることを知らない。
テーブルの上に座って、床に座り込むシズちゃんを見下ろす。足を組んで怒りに支配された瞳で。

「ほら、やってみせてよ。さっきまでヤりたそうだった淫乱なシズちゃん?」
「っく、ひぐっ……いざ、ひぁ、う」

シズちゃんは小さく震える大きな手でそれを包み込み、下着越しに恐る恐る擦っていく。
その手つきはたどたどしくて明らかに初めてだというのがわかる。
粘着質な視線を送ってその痴態をまじまじと見ていると、シズちゃんが俺の方を見て顔をより一層赤らめた。
頭を左右に弱々しく振って、刺激に耐えているよう。

「そんなんじゃイけないでしょ?シズちゃんは淫乱なんだから」
「でもっ、でもぉ……」

その物欲しそうな眼差し。すぐにわかった。
でも、素直に触る気にもなれなくて、躊躇った手が止まる。
結局、自分が意地を張っているだけ。俺を一番に考えてほしいという支配欲と独占欲。
だからシズちゃんが言ってくるまで、俺は触れられないんだ。

「い、いざっ」
「なぁに、シズちゃん。その可愛いお口で言ってごらん?」

促すように微笑みかけると、シズちゃんは悲しそうに目を歪めて口を開いた。





\数多留衣様に捧げます/
唐突ですが、数多様10000hitおめでとうございますうううぅぅぅううう!!
そして超遅くなりました、遅いです私←
しかも遅いうえに中途半端に終わるというオチorz
……誠に申し訳ありませんでしたあぁぁぁああああ!!←

謝罪と一緒にHAPPY ENDバージョンも書きます、はい。
何故シズちゃんが自棄飲みしたのか、とかいう余談も含めて←

それではこんな変態でどうしようもない奴ですが、何卒よろしくお願いします!!


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