「久しぶりですね、恭弥」

僕を呼ぶ、あの忌々しい声が聞こえる。
ずっと書類に向かっていた視線を上げると、霧に包まれた幻覚が現れた。
彼は復讐者に捕らえられていた身。どうして今更僕の前に。
けれど、こいつの姿を見ると僕は愛用の武器を取りださなければいけない。
そう本能が告げていた。

「僕に何の用。しかも今更」
「クフフ、黒曜では随分とお世話になりましたね?怪我の方も、」

こちらも。
首筋をあの冷たい手で撫でられ、やっぱりこいつは幻覚だと悟る。
それよりもさっきの発言が僕の血管を浮き出させ、僕に武器を振らせた。
目の前の幻覚はそれを見切ったかのように避け、更に懐に潜り込んで僕の顔を両側から手で挟み込んだ。
冷たい。暖房がきいた応接室では、より一層そう感じた。
そして無理に視線を合わせられ、唇を重ねられる。
違う、この温度じゃない。僕が知っていた温度は、こんなに冷たくない。

「ん、むくっ……!」
「っ………痛いですね」

その冷たい温度が嫌で唇を噛んだ。
その唇は意外と柔らかくて脆くて、すぐに切れてしまった。
骸の血が口内に広がる。鉄臭くて、苦い。
けれど血だけは温かかった。

「もうあの時のように僕を受け入れることはしない、という拒絶ですか?それともただの強がりでしょうか?クフ、どちらにしても僕からしてみれば滑稽ですが、ね」
「煩い。その口を黙らせたくて噛み切っただけだよ」

トンファーを構えると、向こうも槍を構えるはず。そう思っていたら、案の定槍がその右手に浮かんだ。けれど、いきなりその槍が霧となって消えていく。
辺りは再び霧だらけとなった。

「恭弥、僕は今日こんなことをするためにここに来たんじゃありません」
「じゃあさっさと用件だけ言って帰りなよ」
「そうですね……では単刀直入に言いますよ。告白をしに来たんです」
「………は?」

何を言い出すかと思えば、告白をしに来た、と。しかも僕に。
何かの懺悔でもするのかと思ったけど、そんなことをする気配は一切なし。
じゃあやはり、異性が異性にするようなあの甘い言葉の囁き合いなのだろうか。
そんなの、骸なら何度でもしてきてるはず。女にだって、男にだって。
僕だってあの時に何度もその愛の言葉を囁かれた。それを嘘だと信じ込んで、否定して。やっと忘れられるはずだったのに。
この男はどこまでも僕を苦しめたいんだろうか。僕の気持ちを逆手にとって、僕を、僕を。

「君の言葉は嘘だらけだよ。そんなの、信用できるはずがない」
「おや、それでは期待していたということですか?」
「っ、うるさい!黙れ!」

咄嗟にトンファーを振り回すと、またそれも避けられた。
あの張り付く笑みが嫌で仕方ない。あの嘘ばかり吐く口が忌々しくて仕方ない。
あの僕を見透かす赤と青が、憎い程美しい。
だから僕は、骸が嫌いで好きなんだ。

「愛してます、恭弥。君を愛してるんです」
「っ、また嘘ばっかり。そういうのは君が傍においてるあの子に言えば?」
「彼女は家族のようなものです。君とは似て異なるものですよ」

骸はまたあの目で僕を見つめる。あの、何もかも見透かしたような目で。
一瞬時が止まったような気がして、凄く怖くなった。
その赤い唇から紡ぎだされる言葉が怖くて、思わずトンファーを落とす。

「もう一度言いますよ?愛してます」

その言葉にもう、囚われたくなかったのに。
気付けば僕は、その慣れない温度に包まれていた。


好き

(僕は結局抗えない)




久しぶりに骸雲^q^
骸←雲に見えますが一応骸(→)←雲なので←

骸さんは基本的に嘘つきで遊び人設定w
ひばりんは心を理解できていないツンデレでいいと思います^q^
骸雲ぷまい、mgmg^q^

そして黒曜では、よくあるヤられた設定で^///^
それで雲雀さんが悶々と悩んでればいい←

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