あるところに、金髪にバーテン服、そして赤い頭巾を被った、何ともアンバランスな格好をしたシズずきん、もとい平和島静雄がいました。
シズずきんはお母さん……の田中トムと一緒に暮らしていました。
ある日、シズずきんはおばあさんの岸谷新羅のところへおつかいに出されることになりました。
え?どうして全員苗字が違うかって?そんなことは気にしちゃ世の中渡っていけないよ。

「静雄ー、こればーさんとこに持って行ってやれ」
「はい、トムさん」

あーもう、シズちゃんったらあんなに素直に言う事聞いちゃって。そんなんだから俺みたいな奴に騙されるんだよ、全くもう。
……そうだよ、ナレーションは孤高の狼こと折原臨也だよ!ビックリした?
っていうかただ覗いてるだけなんだけどね。あ、これはシズちゃんには内緒だよ。
そしてシズずきんはそのデカい図体に似合わない小さなカゴにワインとパンとチーズを入れて、家を出たのでした。
あ、やば、もうすぐ出番だ。

「大体、ばーさんがワインなんか飲んでいいのかよ……」

うわ偶然、俺もそれ思ってた。
シズずきんは道をずんずんと進んでいきます。ってちょっと、花畑で止まってくれないと困るんだけど。

「あ、そういえばトムさんが花摘んでいってやれ、とか言ってたっけ……」

トムさんGJ。こんなときだけ役に立ってくれてありがとう。
シズずきんは花畑を見つけて、そこで花を摘み始めました。でも、花のバランスとか色が統一されていません。
どんだけセンス悪いのシズちゃん。
さーて、俺の出番だよ!

「やあ、シズずきん」
「……!臨也……!」

狼の折原臨也の登場により、シズずきんの顔が一瞬にして引き攣ります。
あ、言うのを忘れてたね。俺とシズちゃんはもう知り合いなんだよ。勿論、殺伐とした……なんて言うと思った?
実はね。

「臨也、会いたかった……!」

そう、こーんな甘い関係なんだよ!ビックリしたでしょ!
流石妄想肥大な管理人だよ。おかげで赤ずきんの原作も俺たちの原作も全く関係なくなっちゃったよ。
事のあらましを説明すると、シズちゃんと俺は数か月前に知り合って、その時も花畑で花を摘んでいたんだよね。
それで最初の方は怯えてたんだけど、段々と会う回数を重ねるにつれてシズちゃんの笑顔も増えていって、今ではシズデレがいっぱいだ。
これも俺の騙し……仲良くしてきた努力の賜物かな。
でも、そろそろこのふわふわした関係にも飽きてきたんだよね。ほら、こっちとしてはもっと先に進みたいというか何というか。
そんな臨也をさしおいて、シズずきんは臨也の方へ駆け寄ってきました。

「見ろ、臨也!」

そう言ってシズずきんが臨也の前に差し出したのは、クローバーで作った花の冠でした。
不器用ながらも一生懸命作った跡が見られます。
うわー何この可愛い子、まじ天使。
上手に作れたと思うか?って俺の様子を窺いながらはにかむシズちゃんは最早俺のオカズです、ごちそうさまでした。
シズずきんはそんな臨也の様子に気付かず、にこにこと臨也に話しかけています。
臨也の方はとうとう限界も近く……なってきたのですが、何とか我慢をしました。
初めてが青姦とか可哀想だよね、うん。

「あ、そろそろ俺行かなきゃ…。じゃあな、臨也」
「あ、うん」

シズずきんは狼に別れを告げて、おばあさんの家へと歩き出しました。
あー行っちゃった。あ、でも原作通りだと、この後ばーさん食いにいくんだっけ?
いやだなぁ、あんな不味いのよりシズちゃん食べたいのに。
臨也はぶつぶつと文句を言いながらも、おばあさんを家から追い出すために、シズずきんよりも先回りして家に行きました。

ですが、臨也が着いた頃には、おばあさんは既に家にいませんでした。
何だ、ばーさんいないじゃん。ん?机の上に、メモ?

「静雄へ。持ってきたものは全部机の上に置いてね。それからすぐ帰るんだよ、悪い狼がうろついてるからね」

臨也はそのメモをぐしゃりと握りつぶしてゴミ箱に入れました。
残念だね、ばーさん。シズちゃんが来る前に俺が来ちゃってさ。シズちゃんは美味しく頂かせてもらうよ。
さあ、シズずきんはどうなってしまうのでしょうか?



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