※アレティキなのにアレン出演してない。そしてよくわからないけどシリアス風味。










方舟が次々と崩れていく。絶景だ。
一度だけ、俺を愛していると囁いた道化もいなくなった。
所詮エクソシストと俺たちノアは敵対している関係。仲良く恋人ごっこをするのもそう長くは続かない。
一息吐いたのも束の間、あの道化は生きているらしい。
あの夜壊したはずなのに。あの忌々しいイノセンスと共に。
でも、悔しさはそこにはなく、歓喜が沸々と湧きあがってくるだけだった。
またアイツと一戦交えることができる。そう考えると、自然と頬が緩む。

「ちょーっとティッキー。何ニヤニヤしてんのぉー?」
「…ニヤけてねぇよ」
「ニヤけてたでしょー?何考えてたの?」
「……別に何も考えてねぇよ」

猫なで声で口許を歪ませながら言ってくるロードに、内心で舌打ちをしながら外に視線を移した。
少年はいつ来るんだろうか。
甘党がいなくなり、双子も吸血鬼と相殺してしまったらしい。
多分、もう少し。もう少しで階段を上ってここに来る。
目を瞑って想像するだけで気分が高揚してきた。早く、早くアイツと対峙させろ。

『愛してますよ、ティキ・ミック』

「……え?」

違う、この記憶じゃねぇ。俺が、俺が求めていたものは。
あの夜のことは葬って、俺は快楽を司る使徒、ティキ・ミックになったはずなのに。
頭を抱えてじっと床を見つめる。目の前が真っ暗になっていくような気がして、堪らず目を閉じた。

「早くアレン来ないかなぁー。ねぇ、ティッキーも楽しみでしょ?アレンと会えるの」
「戦いたいけど、会いたくねぇな」
「何ソレ、意味わかんなぁい!」

あはは、とはしゃぎ回るロードは放っておいて、俺はまた頭を抱えた。
俺が認めていたのはこの感情じゃない。
大体、人間であって人間でない俺が、純粋な人間に恋をしてどうすんだよ。
悲しいだけだ。アイツがエクソシストなんかじゃなくて、普通に人間だったらとどれだけ思ったことか。
否、それでも俺は人間に恋をしてはいけないのかもしれない。俺は人間であって、人間からは到底離れているのだから。
結局、俺は人間に特別な感情を抱いてはいけない。でも、俺は抗ってしまった。
だからこんなにも苦しんでいる。

「ロードはいいよな。何の苦もなく、少年のことを好きだって言えるんだからよ」
「当たり前じゃんっ、好きなんだからさぁ。ティッキーも好きな人がいるなら言えばいいじゃーん?好きだ、って、きゃはっ」
「なーにがきゃはっ、だよ。言えたらこんなに悩んでねぇよ」

食べたくもない料理を口にしながら、俺はふと思う。
俺が、ノアじゃなくて人間だったら。今頃俺は普通に恋をして、普通に仕事をして、普通に友達をつくって。
日常生活を、あいつらみたいに送れていたのだろうか。

「ティッキー……泣いてる?」
「え?あぁ、マジでか……」

ロードの窺うような声が聞こえて、思わず頬に指を当てる。
嗚呼、泣いている。自発的に泣けなかった俺が、少年のせいで。

「はは、ははっ……マジでわかんねぇ…」

ただ自嘲することしかできなかった。
片手で両目を覆ってその自発的な涙を止めようとしても、何故か止まらなくて一人で笑う。
これから戦闘が始まるってのに、俺は何で少年を思って泣いてんだよ。
本気で殺せそうにない、そう思ったのはほんの一瞬で、まさかあんなことになるとは自分でも思わなかった。

気付けば俺は千年公に抱えられ、あの戦闘は終わっていた。
俺が、少年に敗北した、あの戦闘は。
自分が敗北してから何が起こったのかはわからない。只、頬についていた雫は乾いていなかった。


もう人間には戻れない

(だから俺はあの夜に壊しておきたかった)
(こんな醜い俺を見られるのが嫌だったから)



アレティキにたぎった残骸。
ティッキーごめん、そしてアレンごめん←
っていうかアレティキでもティキアレでもどっちでもいけると思う。
そしてロードのキャラ確立してない……!!ティキの口調もイマイチ……←
うん、とりあえず敬語攻めは萌えるよねっていうw


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