二人の(非)日常編2 #2



私のお腹の上にはディエゴが乗っかって、ぺたんと丸くなって目を閉じている。私は私でソファの肘掛けに頭を乗せて、ディエゴの観察。背中側の鱗はちょっぴり大きくてボコボコだけれど、お腹側は細かくてすべすべしている。爪を引っ掛けてみても剥がれそうにない。当たり前か。

恐竜はもっと硬そうなイメージあったけれど、思っていたよりもプニプニしている。お腹の皮をむにっとつまんでみるとかなり伸びる。少しも反応しないから、ちっとも痛くないのだろう。指を話すと一瞬で元に戻る。

そういえば、ディエゴのほっぺの後ろの方に小さめの穴がある。なんとなく触ってみたが、他のところと同じようにざらざらしているだけ。……これは、耳かな?……耳だろうな。指でくるくると周りをなぞってみると、少しだけくすぐったそうにしている。かわいいなァ。

尻尾をぱたぱたさせて、心地よさそう。和む。…そうだ、思いついた。ディエゴの耳に息吹きかけたらどんな反応するかな。

ふぅーっと息を吹きかけてみる。



なんと




無反応!


なんだよそれェ〜つまんないの!と鼻先をつんつんしてみるも、目を開く気配なし。びっくりするのを期待してたのに完全スルー。なんか悔しい。

仕返しと言わんばかりに寝返りをうつ。丁度私がソファの背もたれに向かう体勢に。私のお腹の上から滑り落ちたディエゴは、私と背もたれの間に挟まっている形になった。しかし薄目を開けただけで、また目を閉じてしまった。そのままお昼寝タイムに突入しそう。


…構ってくれなくて暇だから観察の続きしよう。背中の模様はいつ見ても綺麗だ。ちょっとくらいズレてもよさそうなのに、すごく綺麗な曲線。模様だから、小さい丸がいっぱい集まってそう見えるんだろうな。にしても、名前が模様になるなんて。そんなに自分の名前が好きなのか。自己愛の塊ですな。頭のてっぺんから尻尾まで、だけじゃあなく腕や足にもある。もはやアートの域。

やはり一番気になるのは、頭のアンテナのようなもの。7本ほど付いている。先っぽが丸くなってて、触っても刺さらないのは良心的だと思う。尖ってたら攻撃に使えそうだね。触ってみると結構硬い。引っ張って放したらびょんびょんしそうなイメージだったのに。

アンテナの付け根にあるのは、骨のような何か。形は背骨に見えなくもないけど……これは一体なんなんだ!ただのオシャレかッ!?聞いても分からないだろうから、永遠に私の中の疑問として残るのか。

ディエゴの、鼻から頭にかけてのラインが好きだ。指を這わせるだけで楽しい。指に伝わるぼこぼこした感触。鱗の隙間、ゴミとか付きそうだなァ。たわしで洗った方いいかな?でも痛そう。ナイロンのタオルでいいか。なぞって遊んでいたらディエゴが気持ちよさそうにしてる。人差し指の横のところでなでてみる。ここがええんか!うりうりうり。

次は足を見てみよう。といっても、ここから見えるのはほんのちょっぴりで、半分以上はディエゴの下に隠れて見えない。丁度見えるのは片足だけ。指の数は片足4本。一番内側の指は小さくてかわいい。内側から2本目だけ上を向いていて、爪が他より大きい。『Dio』という模様のiだけ、人でいう太ももあたりから下まで伸びている。やっぱりオシャレなのかな?触ったらくすぐったいのかすぐ引っ込めてしまった。

仕方がないので手の観察をしよう。細い指が3本。爪は尖ってて、よくそこらの物に引っかかってた。爪切りかヤスリがけしてあげた方いいかな?後でやってみよう。

うーん、前に私と手の大きさ比べしたことがあるけど、やっぱり大きくなってるなァ。前に見た時はもっと小さかったはず。何が起きたんだろう。突然成長するなんて。…まぁ、考えても分からないよね。重大そうな感じもしないし、放っとこう。


狸寝入りしてるのか、それとも本当に寝てるのかよく分からないディエゴの尻尾をなでてみる。尻尾が逃げた!と思ったら、手をベチッと叩かれた。ちょっぴり痛かった。






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