二人の(非)日常編 #2



ディエゴとじゃれあったりしながら遊んでいると、いつの間にか空が赤くなっていたので帰ってきた。知り合いに合わないように急いで!そのせいで足が疲れたのはきっと気のせいじゃあない。


「ただいまァー!」


ドサッとディエゴの入ったキャリーを置き、出入り口を開けると、恐竜的スピードで飛び出してきた。すごく速い。そしてその速さのまま階段を駆け上がって行った。私はのんびりと靴を脱ぎ、ゆったりとした足取りでリビングへ向かう。

そろそろ夜だ、夕食の準備をしよう。
私は一人暮らしをし始めてから料理をするようになったクチだけれど……あまり見た目がよろしくない。漢料理といった感じで。まぁ、美味しければなんだっていいじゃあないか。ゲテモノってほどでもないし。

今日の夕飯はごはん、味噌汁、ハンバーグ。サラダも少々。栄養バランスなど分からないので適当に作る。もちろんレシピを見ながら。

フライパンに油をひき、丸く形どった肉を投入。ジュワ〜っとお腹が空いてきそうな音を立てる。いい匂い。
こんがり焼けるまで待っていると、ディエゴが匂いにつられたのか、2階から降りてきた。鼻をクンクンさせて、こちらに早足で寄ってくる。


「もうすぐできるよ」
「クァ」


指で押してみて、どのくらい焼けたか確認する。……そろそろいいかな?皿を取り出して盛り付ける。ソースなんて作らないし作れないから、市販品だ。

なにか視線を感じると思ったら、ディエゴがダイニングテーブルに乗ってこちらを見ていた。気になるのかな。構わず作業を続ける。テーブルにふた皿移動。……そういえば、


「ディエゴって白ご飯食べれる?」
「クァ?」
「白ご飯って、これ」


茶碗によそったご飯をディエゴに近づける。クンクンと匂いを嗅いで、そのまま食べ始めてしまった。私の茶碗なのに……まあ同じのもうひとつあるしいいか。白ご飯は食べられるらしい。私もさっさとご飯と味噌汁よそって食べてしまおう。


「美味しい?」
「……クァ」


ご飯は食べ慣れていないのか、ご飯粒が口の周りに付いてしまっている。取ってあげると、今度はハンバーグを食べ始めた。私も一口。……なかなか美味しく出来上がっている。

ついでにとディエゴの分も味噌汁よそったが……上手く食べられるのかなァ。ディエゴはじぃっと味噌汁を見つめるだけで飲もうとしない。


「ディエゴ、味噌汁食べれる?汁物って食べにくそうだけど」
「ガゥ」
「そう……あー、じゃあ食べさせてあげるよ」


キッチンの食器入れからスプーンを取ってきて、ディエゴの分の味噌汁をすくう。具は小さく切ってあるのでこぼれない。


「ほら、口開けて」


大人しく口を開けた。もうちょっと渋るかなって思ったのに。ディエゴが飲み込んだので、もう一回すくって差し出す。食べる。すくう。食べる。なんだか小鳥に餌付けしている気分だ。


「……あ」


そういえば、恐竜って塩分摂っても大丈夫なのだろうか。うっかりしていた。……まぁ、いいか。ご飯に味噌汁をかけた『ねこまんま』があるくらいだし、多少なら平気だろう。

ディエゴが味噌汁を食べ終わったので、自分の食事を再開する。ほかほかだったご飯は少し冷えて固くなってしまった。






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