二人の馴れ初め編 #3



お風呂でゆっくりしたあと、ほくほくしながら、ソファに座ってディエゴとテレビを眺める。ディエゴは私の横に寄り添うように寝転んでいる。……昨日のツンツン具合はどこに行った?

仲良くなるに越したことはないので、ゆっくりと繰り返し背中を撫でてあげていると、また眠くなったのか丸くなってしまった。さっき睡眠の邪魔をしたようなものだしな。周りの環境が変わった疲れがまだ残っているのかも。

暫く撫で続けていたら寝てしまったのか寝息が聞こえてきた。寝息すら可愛いとは一体どういうことだ。某モンスターをハントするゲームでモンスター捕獲した時も同じようなこと思ったな。なんて思いつつ、起こさないように優しく撫でながらテレビを眺める。しかしディエゴの方が気になって内容が頭に入ってこない。だって可愛すぎるんだもの……。爬虫類好きでなくてもこの状況にあったら萌えずにはいられないはず。同居を始めて2日目で既に虜になっている。


ディエゴをただひたすらに見つめていたらいつの間にか1時間が過ぎていたようだ。時間の流れとは速いものよ……。

もうそろそろ寝ようと思うのだけれど、下手に動いたらディエゴが起きてしまわないか心配になってしまう。そんなに眠りが浅いかな。爆睡してたら大丈夫だろうだけど。うーん、どうしよう。ここで寝てしまおうか。でも起きたときに首痛くなってそうだなァ。

どうしようかと悩んでいると、隣からもぞもぞと音がした。目を向けるとディエゴがこちらを眠たげな瞳で見上げている。


「ディエゴ……起こしちゃった?」


ディエゴは黙って首を横に振った。そのまま私の手に頭を擦り寄せてくる。…やっぱりかわいい。


「私もそろそろ寝ようかなって思うんだけど」
「……クァ」


私が立ち上がると、ディエゴは足に鼻を押し付けてきた。くすぐったい。


「ん?どうしたの」
「……」


何も言わずに、廊下の方に目を向ける。


「あぁ、そうだね。一緒に寝よう」


ディエゴを抱き上げて部屋の電気を消す。途端に辺りは真っ暗になった。家の外に街灯があるのでいくらかは見える。ほんのちょっぴりだけ。
ペタペタと足音を立てながら二階の寝室へ向かう。腕の中でディエゴが眠たそうに大きな欠伸をした。

寝室にある無駄に大きなベッドにディエゴを抱えたまま寝転んだ。
ベッドの横に机と椅子が置いてあるだけ、という至ってシンプルな部屋。
私の女子力の無さが浮き彫りになっている。
もそもそと掛け布団の中に潜り込む。ディエゴは暑かったらいけないので頭が出るように。自然と目線が近くなる。間近に見える彼の青い瞳は、僅かな光しかないというのに、透き通ってとても綺麗だった。見とれていたら、瞼で見えなくなってしまった。


「おやすみ、ディエゴ」


あぁ、なんてこった。恐竜相手に恋をしてしまったみたい。





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