深夜4時の帰宅
体に何かが触れた気配に目を醒ました。
テーブルに突っ伏していた体を起こすと、お、と無感情な声がうしろから聞こえる。
振り返る前に、声の主が横を通って私の前に座った。
「おかえり…」
「ただいま」
顔の左半分にある火傷跡は未だ健在である。無表情で皿からラップをぺりぺり剥がす轟くんは同棲相手だ。
つめたいご飯をもくもくと食べる轟くんに、あっためないの?と聞くと、べつにいい、と返ってきた。
壁にかかっている時計を見ると、ちょうど四時になる前だった。こんな時間までお努めご苦労様です。
「お風呂は…?」
「明日入るから、いい」
「そう…」
「…沸かしてあるなら入る」
あくびをかみ殺して、今から入れなきゃ、と答えると、じゃあやっぱりいらないと轟くんが言った。
そっか、と答えて、ふわぁ、とあくびは今度は出てきてしまった。それから少しして轟くんも、ふわ、と抜けた声を出す。
あくびうつっちゃったね、と笑い合って、轟くんが食べ終わって歯をみがくのを待ってから二人揃って寝室に向かう。
さいわいなことに、明日は休日だ。明日はどこか遊びに行こうよ、とぽつぽつと話していたらいつの間にか寝落ちてしまった。
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