24時間の過ごし方 | ナノ
0時きっかりに鳴った電話

 
某日、23時52分。明日に迫った高校入試にそなえ、スマホを操作してアラームをセットしていた。
寝汚い私のことだから、どうせアラームが鳴ってもまだ大丈夫まだ大丈夫とすやすやすやんこすることだろう。
そんなに朝起きられないなら夜にはやく寝ればいいだけの話だが、それとこれとは話が別だ。日付を越えてから夜は始まるのだ。
しかし、比較的いいこちゃんに育った私はもう中学を卒業するという歳にも関わらず、日付をまたぐ時刻に迫ると眠たくなってしまう。日付が変わったその瞬間に起きていられたことなど、ただの一度もない。

同日、23時58分。
眠たくてぼうっとする頭で、途中ふっと意識を失うように寝かけながらもアラームをセットし終えた私を、また眠気が襲ってきていた。眠気の大きな波が私を飲み込もうと立ち上がる。私はそれに飲まれてしまおうと静かに目を閉じた。
寝ていてもアラームが聞こえるようにと音量を最大にしていたのが悪かったのだろう、けたたましい着信音が、今まさに私に降りかかろうとしていた眠気の大波をなぎはらった。
スマホのロック画面に表示されたのは幼馴染の名前だった。時刻は日付を跨いでいる。
いつもなら「なんだよこんな時間に」と悪態をつくところだが私は眠くてたまらない。また眠気の波が立ち上がっていたのだから眠くないわけがないのだ。
もたもたとボタンを横にスライドさせて電話を受け、まわらない口で、もしもしの代わりになぁにと言った。
『お前明日入試だろ。日付変わったからもう今日だけどよ』
「うん」
いつになく落ち着いた声だった。もう一人の幼馴染にいつもかけるあの声ではない。
夜中だからか、相手が私だからか、声のトーンを落として話すかっちゃんが好きだった。
霞がかかる頭でかっちゃんの言葉にぼんやりと返答していたのだが、そのあたりからの記憶がない。


某日、10時8分。
私はかっちゃんの家のインターホンを連打していた。この曜日はかっちゃんの親が留守にしているのを知っているため、そんな迷惑行為だってできてしまう。これをするとかっちゃんに報復されるから本当はあまりしないのだけど、今日だけだ。
なにか大きなものが転がり落ちてくるような音に、私は連打をやめた。一泊置いて、ドア壊れるぞってくらいの勢いでかっちゃん宅のドアが開かれる。ドアを開けた張本人の目は、60度近く吊り上がっていた。
「るっっっせぇんだよなまえぶっ殺すぞ!!!!!」
「かっちゃん聞いて、高校受かったよ!!」
「あーそうかよよかったな、帰れ!!!!」
「おめでとうって言った!?ありがとう〜〜〜!!」
 

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