8時、いつもと違う朝食
ハッ、と気付いたときには短針は8と9の真ん中を示していた。言わずもがな長針は5と6の間である。
寝過ごしたことに焦りつつ、同居人の雷が未だ落ちていないことに不安をいだきつつ、リビングに続く寝室のドアを勢いよく開ける。
食卓には同居人こと爆豪が、実におだやかな表情で座って朝の報道番組を映すテレビを眺めていた。
それから私を見て、起きたか、と声をかける。
「はよ飯食っちまえ」
「……怒んないの…」
「あぁ? なんで怒んだよ」
寝坊したから、とやや放心気味に答えると、爆豪は鼻で笑った。
「昨日だったら怒鳴ってたかもな」
「(……今日、休みか)」
カレンダーを見れば、赤で休みと書かれている。荒々しい字体は彼のものだろう。
どこか夢見心地な気分のまま自席につく。
朝起きて朝食が用意されているというのは何年ぶりだろう。
いつもと違う朝食に、気持ちがふわついた。
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