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ロー

※胸糞


銃を突き付け私は言う。
「人間らしいところもあるんだね、死の外科医=B一人の女にそこまで執着するなんて。」
死の外科医とその女が私の声に振り返る。女は私の持つ銃を見て小さく悲鳴を上げた。女のような甲高い悲鳴だった。死の外科医は私から庇うように女を自分の後ろに隠すようにする。
「何者だ、お前は。」
「賞金稼ぎの端くれさ。」
死の外科医が長刀を抜いた。こちらも銃の安全装置を外す。
女が死の外科医の前に飛び出した。両腕を広げ、私から死の外科医を庇うようにする。死の外科医が慌てた表情をし、おいと声を出す。女が口を開いた。
「ローを殺さないで…!」
「お前っ、」
ああいう自己犠牲は、大嫌いだ。女の太腿に狙いを定めて引鉄を引いた。死の外科医が女の体を引き寄せるも間に合わず、太腿に穴が空く。女が大袈裟に痛がった。構わず脇腹、鳩尾、肩。狙った箇所に撃った弾全てを命中させた。
死の外科医が崩れ落ちた女の体を大切そうに抱き締め私を睨み、私に背を向け走り去る。私は死の外科医を追わなかった。追えなかった。
結局あの男から全てを奪おうと、私はあの男の視界に入ることはないのか。ならば、彼が私を嫌うように仕向けよう。憎むように仕向けよう。彼が私に抱くものが例え憎しみであろうと、私が死ぬまで私はあの男の記憶に残り続ける。幸せなことじゃないか。


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