ss | ナノ

爆豪勝己

爆豪勝己は優しくない。オムライスもオムレツも、絶対にふわとろにしてくれない。
「やだ〜!やだやだ〜!私もふわとろたまごがいいの〜〜!」
「16にもなってガキみてぇなこと言ってんな。半熟にすっとテメェが腹壊すから火入れてやってんだろが、感謝しやがれ」
「かっちゃんばっかりふわとろたまごずるい!!」
「俺は半熟でも腹壊さねぇからいんだよ」

爆豪勝己はいじわるだ。私の嫌がることばかり言う。
「轟くんかっこいいな〜〜!かっこいい〜〜!」
「テメェあんなんがいいんかよ」
「だってかっこいいじゃん!好き〜!」
「……あいつはお前みたいなガキくせぇの、好きじゃねぇぞ」
「えっ……」

爆豪勝己は優しい。
「かっちゃん、ごめんねかっちゃん」
「うるせぇ」
腹に空いた大穴からいのちが流れ出ていく。もうどうせ助からないというのは、私でなくとも、それこそ他人のかっちゃんですらも分かっていることだ。
「かっちゃん逃げなよ、死んじゃう」
「うるせぇっつってんだよ」
私を襲ったヴィランを倒しはしたものの、それでもまだそこかしこにヴィランがいる。私というお荷物が居ては、かっちゃんまで死んでしまう。それでもかっちゃんは私を抱えて走っている。
「かっちゃんごめん、だいすき」
爆豪勝己は優しい。優しいから、私の言葉に何も言わず、ただ私を抱き抱える腕に力を込めた。逃さないぞと、言うように。


← →

back
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -