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現パロー


ドアが開く音に雑誌を閉じた。ソファから起き上がり、雑誌をローテーブルに置いて玄関へ向かう。廊下とリビングの仕切り代わりのドアを開けると、ローさんが靴を脱いでいるところだった。

「おかえり、我が家の稼ぎ頭!」
「ああ、ただいまニート。飯は?」
「あるよ!大根の味噌汁!」

ローさんの通勤鞄と買い物袋をワクワクしながら受け取る。
今日は何を買ってきたのかと袋の中を見ると、中にはスーパーで売ってるショートケーキとプリン、それから卵が入っていた。そういえば今朝、卵が無いとぼやいていたなと思い出す。
ローさんがネクタイを緩めながら大鍋の蓋を開けて「あ?」と間抜けな声を出す。通勤鞄を指定の場所に置いていた私は、どうしたのと振り替えった。

「おい、大根はどうした」
「無いよ?」
「なんで」
「大根だけ食べた!私が!美味しかった!」
「お前なあ!」

ガシャンと乱暴に鍋の蓋を閉めたローさんがずかずかとこちらに歩み寄ってくる。そしてむにっと私の両頬をつまんだ。これがなかなか痛い。

「俺の為に残しておこうって考えは無かったのか、あァ?」
「無い!」
「このクソニートが!来月からお前が仕事しろよ!俺がニートになるからな!」
「やだよそんなの!同棲相手がヒモ男だなんて 恥ずかしくて外にも出られない!」
「俺はお前の存在自体が恥ずかしいんだよ!」



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