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知能が低い



「爆豪ってさあ」
「ああ」
カリカリカリカリ。シャーペンが紙面を駆ける音が大きく聞こえる。それもそのはず、今この教室には私と轟しかいないのだ。
「爆豪って、自尊心のかたまりじゃん?」
「そうだな」
「で、けっこう内申とか気にするじゃん」
「そうだな」
カリカリカリカリ。シャーペンはかけっこをやめない。轟もぼんやりと相槌を打つだけでシャーペンを踊らせる手を止めない。
「でも、すっげ態度悪いし口悪いしクソを下水で煮込んだような性格じゃん」
「そうだな…」
「内申気にするくせに制服着崩してるし、ズボン腰パンじゃん」
「その話まだ続くか?」
はやく終わらせたいんだ、と紙面をシャーペンの頭でトントン叩く。気が散るんだが、と目が語っている。それは建前ではないようで、机の上には消しカスが軽く丘をつくっている。いつもならこんなにカスは出ない。
「爆豪さあ、ズボン腰パンじゃん」
「はあー…」
轟は深くため息を吐いて、またシャーペンを走らせ始めた。
「爆豪、腰パンじゃん」
「ああ」
「この前見ちゃったんだけどさ」
「そうか」
「爆豪、ぱんつ見えてた」
「俺が日誌書き終わるまで黙っていられないか?」
轟が痺れを切らした。私は笑い転げた。


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テーマ「人外ファンタジー」
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