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ツートンカラー

ひゅ、ひゅ、と短く息を吐く。腹に大穴が空いて千切れた臓物が見え隠れする。白い骨が血に濡れて赤くぬらぬら光っている。侵食を進める血溜まりが、男のつま先に触れようとしている。血溜まりから逃れようと、男は一歩うしろへ下がった。ツートンカラーの半身は氷に覆われている。天井を凝視する女の虚ろな双眼が、ゆるりと男を捉えた。
「かおが、くらくて、よくみえない、けど、」
途切れ途切れに掠れた声で、女は何かを言っていた。吐息のような声は聞き取りづらい。身を屈めて、男は女の声を聞き取ろうとする。
「あなた、みたいな…びじん、なら、ころされて、よかった…かも…」
息と共にやっとの思いで言葉を吐き、ふっと女は事切れた。


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テーマ「人外ファンタジー」
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