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廉造くん

 
「彼女」ってのは「彼氏」を名前呼びするものだと思ってる。
そしてわたしは廉造くんが好きだ。

ここまで言えば、もう、お分かりだろう。



「廉造くん!」
「なまえちゃ〜ん!おはようさん!」

ふわ〜とした笑顔でおはようの挨拶をしてくれる廉造くん。
ああっ!可愛い!笑顔が眩しい!邪な感情を抱いてしまっていることに激しく罪悪感を覚えるや!

「昨日の課題できた?」
「坊と子猫さんに教えてもろて、ようやっとできたんよ〜」

高校生にもなってクラスメイトを名前呼びするような女子はいないから、実質私だけが彼を名前呼びしているわけだ。まるで彼女みたいじゃないか?いいや、いつか彼女になるんだよ。当然そのための作戦だって練っている。
第一にバレンタインに廉造くんにチョコを渡す。廉造くんは女の子が大好きだから泣いて喜んでオッケーしてくれるはずだ。
第二に今すぐ告白する。廉造くんは女の子が大好きだから泣いて喜んでオッケーしてくれるはずだ。
完璧じゃないか!

「あのね、廉造くん…」
「なーに?なまえちゃん」
「突然でごめんなんだけど…廉造くん、好きな子いる…?」
「?おらへんよ?」
「あのね!…わたし、廉造くんのことすきなの!付き合ってくれないかな!」

教室のうしろだとは言え、人がいる。時刻は8時をゆうに過ぎているためほぼほぼ全員が教室にいるわけだ。
皆が皆こちらを見る。
廉造くんはぽかんと口を開けて私を見ている。

この勝負───勝った「せっかくなんやけど…」えっ

「えっ」
「俺、塾やらなんやらあって忙しいし…嬉しいんやけど、ごめんなぁ」
「えっ」

えっ?


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