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ロー

ばちん、と頬を打たれる。打たれた形のまま暫し固まり、ゆるりと首を動かして彼を見上げる。彼もまた私を打った体制のまま固まっていた。
まるで自分が何をしたか分かっていないような、そんな表情をしていた。
私は私で、頬を打たれたことへの驚愕と痛みとで動けないでいた。
「えっ…と……」
ローが動いた。私を打ったその手をこちらに伸ばす。びく、と肩を揺らす。それに気付いているはずなのに、ローは私の肩を掴んだ。肩を掴む手に力が入る。ミシミシと肩の骨が軋む。
「ロー、いたい、」
ローが私の体を自分の方に引き寄せる。ローが私の肩に顔をうずめる。ガリ、とローが肩を噛んだ。


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