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廉造

「れんぞう」
舌っ足らずな口調と眠たげな声で、なまえが俺の眉の傷に触れた。
既にかさぶたとなっており特に痛みは無いものの、傷に触れられるというのはどこか変な感じがして少し目を細める。
「どう したの」
「山ん中走り回ってたらほっそい枝で切ってもうてん」
悪魔に怪我をさせられた、とは言えずへらへらと笑って嘘を吐いた。
「いたい?」
「もう痛くないで、心配せんといて」
僅かに眉根を寄せ、なまえは悲しげな表情を見せたが、それ以降俺の傷に触れることはなく、少し無理矢理ではあったが話題を逸らした。


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