シャチ
尿意で目を覚ました。暗い中、記憶を頼りに寝ぼけ眼でスマホを取って、電源を入れる。ロック画面に表示された時刻は2時34分。どうりで眠いわけだ。
夜中はやはり気温が下がる。ぞわぞわと肌を撫ぜるような寒気を感じて二の腕をさする。
眠たい目をこすりながらトイレの電気を付け、寝間着のズボンを降ろ……………そうとして、視界に映った人の足に気付いた。私はひとり暮らしなので、家に誰かがいるはずがない。
そろそろと視線を上げれば、サングラスの奥の瞳と視線がかち合う。
地毛か染色か、とにかく明るい茶髪の男だった。毛先は外側に跳ねており、視線を少し下に下げれば見てはいけない部分が見えてしまいそうになる。
「…………」
「…………」
両者、ともに暫しの沈黙。
「…………………失礼しました〜」
「待て待て待て! 待て! なんだお前、どこから入ってきた!?」
「ぎゃあーー!! 露出狂! 変態! 痴漢!! 触んないで!!」
「変態はむしろお前の方だしな!? 人がうんこしてるところに堂々と入ってきやがって!!」
「フルチンでこっち来ないでぇぇぇ!!」
2016/08/11
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(トイレのドア閉めたらトリップしそうだなあと思った)
加筆修正2018/04/08
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