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C

吾輩は、船である。ふざけてなどいない。
長年大切にされてきた物には心が宿るという。かつて私が製造された島ではそのような言い伝えがあった。

イエローマリン号。それが私の本来の名前だ。
なまえというのは、私が人の形でいる間の仮の名だ。


はじめに見たものは、怖くなるくらい暗い海だった。時折光るものが私の前を横切るだけで、他には何も見えない。
レーダーで岩礁を避け、海流に身を委ね、私の中の人間に体を動かすよう指示され、私は深海を突き進んでいた。

気付いたときには、声を発せるようになっていた。
強く意識すれば、自分の体の中を歩き回れるようにもなっていた。

それが意識せずともできるようになった頃、自分の体が在るように錯覚していた。
そしてそれは現実のものとなる。



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