ss | ナノ

ロー

「何食べてるの。」
疑問符を付けずに問うのはこいつの癖だった。ソファに座り新聞を読む俺の隣に腰掛け、俺の膝に手を置いて顔を覗き込んでくるなまえに
「飴。」
と短く答え、べろりと舌を出して一回り小さくなった飴玉を見せつける。少し黙ったなまえは何を思ったか、俺の輪郭に手を這わせ、舌から直接飴を掠め取っていった。
「……レモン、かな。」
ころころと口内で飴を転がし、「返すね」と俺にキスをする。
「ファーストキスはレモンの味。嘘じゃないみたい。」
「そうかよ。」
主導権を握られるのは好きじゃない。ガリリッと飴を噛み砕いた。


← →

back
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -