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女海軍


ヤメテと悲痛に叫ぶ女海軍の目の前で、男の首筋に短剣を突き立てた。
どうして、と膝から崩れ落ちた女海軍が言った。まんまるの目から涙がこぼれる。
「人はいずれ死ぬ。死期が早まっただけ。」
「殺す必要はなかったわ!」
「ねえ、君の仕事は何? 正義を掲げて海賊()を取り締まるのが君の仕事だろう?」
この男は海賊だ。それもそこそこ名の知れた。
レイプや殺しは当然してきた。これからもするつもりだったろう。
この男が今死んだことで、助かった命があるのだ。
「それでも……」
「海賊は悪だ。海軍は正義だ。それが君の掲げるものだろう。」
「全ての海賊が悪だというわけではないわ……現に私はそういう人を知っている。」
「いいや、悪だよ。私が今まで見てきた海賊は皆悪だった。」
この男も、悪だ。


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